『デフレ』よりも『悪いインフレ』の方がマシ…これは違うよ(政府が怠慢なだけ)
2024/04/05 fri:pv2028【記事総数:129(当記事含む)】
消費税は、常に消費にブレーキを掛けてきた現実がある。不景気の中で繰り返されてきた消費税増税は、賃金が上がらない中で増税由来の物価高を引き起こした『スタグフレーション』の歴史そのものだ。
先日の記事『端数詐欺の実例…』で書いたように、消費税は『付加価値の中抜き税』である。GDP は『付加価値の合計』なのだから、消費税こそが経済成長の阻害要因であり、経済低迷の諸悪の根源である。
これこそ『失われた30年』の元凶だ。消費税導入(1989.4.1)から既に35年も経ってるんだ。今こそ総括し、政策を修正しないと『失われたXX年』が今後も続く事になる。現政府にそれができないというのなら、ここで政権交代しないと子孫にまで『余計なツケ』を回す事になる。
今回の内容:
- 消費税減税までの道程(一例)
- 為替は海外との物価格差の調整弁…そして『悪いインフレ』
- 『デフレ』よりも『悪いインフレ』の方がマシ…これは違うよ(政府が怠慢なだけ)
- 『諸悪の根源』から税を取る…これは正当なやり方
消費税減税までの道程(一例)
既に古い話だが(2023/10/25/wed)、テレ朝のモーニングショーで、田﨑史郎が面白い事を言っていた。「消費税減税には最低でも 6か月はかかる。減税が分かってしまえば国民は半年間お金を使わなくなる。それは政権にとっては悪手である」と。
まず最初に言っとくべきは、政府は元々、消費税減税がやりにくくなるように『既成事実化』的な法改正を幾度も繰り返してきた。これは政府の責任であって国民の責任ではないという事。まあ、ひとまずそれは置いとくとして、次に…
つまり、半年の間に別の手を考えれば『できない話ではない』って事になる。半年間でデフレになるのが嫌なら、60年償還ルールで貯めてある『国債の一部』を少しずつ償還し(市場に現金を出す)、財政赤字を減らし、マネーストックを緩める手がある。
日銀目線で見れば、これほど合理的な采配はない筈。これができないのは財務省の悪習以外の何物でもない。経済対策が上手くいかない原因は日銀にあるのではなく、政府対応のマズさの方が圧倒的に大きい(つまり政府の失敗)。
経済の失敗を中央銀行(日銀)のせいにするのは責任転嫁だ。日銀だけではどうにもならない。現在の税制に問題があるのだ。政府が中央銀行の足を引っ張っていたのだ。ここは『減税方向への税制改革』が絶対に必要な場面だ。
だいたい、何のための低金利政策だよ。元々はバブル崩壊後の負債を、その間に政府や大企業が借金を返すための政策だった筈でしょ(マスコミの論点が根本的にズレてる)。デフレ期であっても、大半の国民は借金を完済している。
ところが『この低金利ならいつでも返せる』という甘えが出たらしい。そして赤字国債分を内部留保・株式配当に回す事で国民の税金をガメてしまい、そのまま権力者の座に居座ってしまった。さらに、何故か『60年償還ルール』などと言う訳の分からないルールをいつの間にか作って借金を放置している。
60年償還ルール(こんなルールを採用している国は皆無だ)は、日本国債の適正価格を歪めている疑いがある。返せる国債はどんどん償還すべきだろう。それが市場での透明性を担保する筈なのだが、なぜ自国国債の信頼度をグレーゾーンに置くのか意味が分からない。これは国民に損害を与える違法行為にならないのか?
国民所得が横ばい状態で、なぜ財政赤字・内部留保・株式配当だけが右肩上がりなのか。これは経済学者ピケティが言う通りで、誰かがカスメ取っていると考えるのが一番自然な解釈になるのだ。
日本では『ピケティ』という名前自体が封殺されている。この裏に権力集団による圧力(もしくは忖度)があるのは、もはや疑いようがない。ピケティが出した世界 GDP 統計データを見れば、富裕層による収奪があるのは、もはや自明だろう。
日本の報道番組でピケティの名前を出した人間は、自分が知る限りでは玉川徹しかいない。Eテレもそろそろ『100分で名著』辺りで、もう一度ピケティ特集をやるべきだと思うが、対応できるゲストが確保できるのかが問題だ(間違いなく迫害されると思う)。あと、権威筋からの猛反論も凄まじい…
「証拠がないから国民は黙ってろ」という論理の方がオカシイ。状況証拠は既に揃っているのだ。疑念がある以上、国民がざわつき出すのはむしろ当然。その疑念を払拭する最適な判断基準は『予防原則』を重視した行動を企業・政府がちゃんと取っているかどうかを国民がチェックする事だ。これは選挙でキッチリ正す必要があるだろう。
返せる時に返さないのはバブル期と同じ構造の繰り返しだ。企業の膨大な内部留保は『財政赤字(国民の税金)』で積み足しされていると言っても過言ではない。ここで金利『だけ』を上げたら無為無策の極みだ。結局『インフレ税』で借金帳消しにする事しか考えていない。これは一般国民にだけ負担を強要する専制主義的な政策だ。
参考:16.高度経済成長期の過大貸付が平成デフレ不況の元凶だった件
https://foussin.hatenadiary.jp/entry/2021/03/07/141158
財政赤字を増大させたのは一般国民の責任ではない。だからこそ増税に反対しているのだ。財源論を出すなら、まずは大企業への補助金をカットしろ。そうすればマスコミも目を覚ます。税金の使い方に問題があるのを財源論にすり替えるな。
増税一辺倒の采配しか出来ない政府なんて、そんな政治、国民のために働いているとは言えない。政府自身は緊縮してるくせに、日銀には金融緩和を強要してくる。中央銀行の独立性を政治が台無しにしている。まずは、この矛盾を解決しないと。
デフレが嫌なら、なぜ国内のマネーを増やさない? 国内マネーを増やすためには『格差縮小』こそが一番効果的である。言ってる事とやってる事が滅茶苦茶矛盾してるよ。
為替は海外との物価格差の調整弁…そして『悪いインフレ』
それにね、敢えて言わせてもらうと、世界の平和な時代は『だいたいが長期のデフレ期』なんだよ。今の状況を見れば誰だって納得するでしょ。悪夢の民主党政権時代(これは安倍晋三が広めた悪質なデマ)が、今と比べたらどれほど平和な時代だったか(福島は悲惨だったけど)…インフレ・ターゲット政策の陰で国家間格差を増大させ、今の紛争・戦争時代の到来を招いたのだ。
安倍晋三が言うほど、民主党政権時代は悪くはなかった。それは利権団体が仕掛けた悪質なデマだった疑いが強いし、そのデマの正当化は歴史の改ざんの危険さえある。民主党は、けっこうまともな国家運営をしていた。皆で結束して東日本大震災を乗り切ったのを思い出してみなよ。
適度のインフレがいいというのは、身の丈に合わない借金をしてる人のセリフだよ。デフレでも大半の人は借金完済している。ただし…それが出来たのは円高だったお陰もある。為替相場が海外との物価格差を調整していたのだ。
円安の方が輸出産業が儲かるから…などという短絡的、短期的な思惑で安易に操作してはいけないものなのだ、本来は。そこの論点がマスコミでは完全に封殺されていた。つまり情報に偏りがあった。
そしてアベノミクスが調整弁を破壊した(急激な円安転換)。これによって通貨を売って株を買うと株高になる仕組みが出来上がってしまった。
今や円安&インフレ&社保高&消費税&インボイス増税の最悪スタグフレーションに突入している。不況なのにここまでやるのかって思うほどの収奪ぶりだ。こんなの、権力による横暴としか言いようがない。
さらに『支援金』などと言い始めた。
もういい。今すぐ解散しろ。
『デフレ』よりも『悪いインフレ』の方がマシ…これは違うよ(政府が怠慢なだけ)
そして今。『デフレ』よりも『悪いインフレ』の方がマシという人がいるが、自分はそれには同意できない。それは『使える金がある人』だけが言えるセリフだからだ。
デフレになると使えるカネがあっても使わなくなるというのなら、要するにそれこそが『諸悪の根源』って事だ。ならば、それを防ぐためにこそ富裕層への資本課税・累進課税の増税をすればいい。
つまり『マイナス金利』と一緒の考え方だ。使った方が得だと思わせればいいだけの話。日銀はちゃんとやった。次は政府のターンだ。
デフレ基調が見え始めたら、富裕層対象の資本課税増税をすれば『デフレは待つが勝ち』という『悪い思惑』を退ける事ができ、市場への資金還流を止めないで済み、デフレは短期間で収束するのだ。
要するに、デフレが起こりにくくなる政策を打つ事は、実は可能だった。が、マイナス金利だけでは『逃げ道』があった。つまりマイナス金利と同時に『税率調整』も必要だったのだ。さらに金融緩和がそれ(逃げ道)に追い打ちを掛けた。
金融緩和だけでインフレに持っていこうとするから『世界中が悪いインフレ』になっている事に気付く必要がある。大規模金融緩和政策が為替相場の国家間の物価格差調整機能を『骨抜き』にしたのだ。今の円安・株高がそれを見事に証明している。
そして税率の調整は中央銀行ではなく政府の仕事だ。こう書けば、いかに今までの政府が無策だったかが分かる筈だ。今までの政府はただ増税するだけで、強引にスタグフレーションという名の『悪いインフレ』を作る事しかしなかった。
「資本課税をしたら海外流出・空洞化が止まらなくなる」という人がいるが、それこそ売国行為。それを放置する政府の方がもっと悪い。グローバル経済、自由貿易経済を盲信しない方がいい。現在の世界的物価高は、その自由貿易(新自由主義)がもたらしたと言っても過言ではないのだから。
で、空洞化対策はズバリ、資産の海外流出が起こらないように『国内産業を優遇する政策』を採る事だ。これは『持続可能社会』を実現する上で『地産地消』を重視するという意味もある。似たような事は EU でもアメリカでも既にやっている。
円安の日本で、これが出来ないというのはオカシナ話だろう。出来ない理由があるとすれば、それは『自由貿易協定』による縛りしか思い浮かばない。特に『ラチェット条項』は危険だ。危険この上ない。
自由貿易協定は、いつの間にか国際機関に『世界政府』のような権力を与えてしまっている。国際機関が『各国の憲法を超越した存在』になって、グローバル企業を使って好き放題やり始めている現実に、我々は気付く必要がある。
国民が TPP の実情を全く知らないのは、政府とマスコミが『説明責任』を果たしていないためだ。知らなければ疑う事すらできない。だから議論の議題にすら上がってこなかった。
国内産業優遇政策…これは『貿易依存企業』の軸足を『内需寄り』に傾けさせるためにも必要な政策となる。で、その事を『行政指導やコミットメント』で企業に圧力を掛ける必要がある。
要するに『国益重視』を企業に迫り、売国奴は許さないというメッセージを強く出す必要がある。これをやらないとグローバル企業から内需産業を守れない。これはアメリカだってやっている事で、これを保護主義と呼ぶなら欧米資本主義全体が保護主義を認めた事になるのだ。
EU とアメリカは『ちゃっかり』国内産業優遇政策をしっかりやっている。結局、国際機関の圧力によって途上国(日本や韓国含む)の経済政策がミスリードされているのだ。これは明らかに善意ではなく『悪意』だ。現在の『国際機関』は悪意の団体に成り下がっている。
要するに消費税増税の裏に『輸出産業優遇(国内産業冷遇)』という思惑があった。これが結果的にデフレを長引かせたとも言える訳。カネがある人は生活には困っていないのだから、貧乏人から消費税を搾り取る前に、先にやる事があるだろう…
『諸悪の根源』から税を取る…これは正当なやり方
いいですか。『諸悪の根源』から税を取る。これは『マイナス金利』と同じで正当なやり方なんですよ。それに対して「取り易い所から取ってる」と文句を言う理屈の方が筋が通ってない。つまり詭弁だ。
それを言ったら消費税の方こそ「それ以上取られたら生活が脅かされる人からも容赦なく取ってる」と文句を言ってもいい筈なのだ。消費税には『弱者に対する慈悲の精神』が欠落している。これは法の精神に反する『違憲状態』だと自分は考えている。
この意見に対して、消費税は『付加価値税』だから納税義務は事業者…と言い出すだろうが、インボイスはそうなってないよね? インボイス申請してない人の領収書は無効だから『売価の10%を消費税として収めろ』と言ってきてるんだよ?『売価の10%は付加価値税ではない』よね? 付加価値税は『粗利の10%』ですよね。これ、完全に違憲(偽証罪??)ですよね。
何なの、この複雑なカラクリは。だいたい『無効だから』の理由の根拠は何? それをちゃんと説明してる報道番組、見た事無いんだけど(権力者の特権、それ以外の理由が見つからない)
国民の誰にでも分かる『単純明快さが税制の基本』の筈なのに、どう見ても国家主導の『紛らわしい詐欺』じゃないか…こんなの絶対に完全撤廃すべきだ。
・日本国憲法に『理由なき権力者の特権』など存在していない筈だ
参考:
13.デフレは「悪」ではない。デフレを長期化させる「思惑」こそ悪である
https://foussin.hatenadiary.jp/entry/2021/03/07/134215
14.デフレよりインフレの方が消費喚起になる・・・とは限らない
https://foussin.hatenadiary.jp/entry/2021/03/07/135218
この参考記事は 2021年3月(3年前)に既に書いていた。今見ると表現が遠慮し過ぎだったと後悔している。もっとクソミソに批判すべきだった。それでも一切内容改変はしていない。
当時は『失われた20年』と書いていたが、それは自制心で我慢していただけ。本当は『失われた30年』と言いたかったのを我慢し、政府対応の改善に一縷の期待も寄せていた。だが見事に裏切られた。日本は、そして国際機関は、この3年の間、いったい何をしていたのだ?
資本主義は、各国の秩序維持のために必要だった政策をことごとく『骨抜き』にしてきた。企業誘致のために法人税を骨抜きにし(アメリカだ)、付加価値税(消費税)によってダンピング規制を骨抜きにしたり(フランスだ)…今一番の懸念は『格差増大』なのだから、格差を放置したままでいるのは論点のすり替えに過ぎない。
秩序破壊によって他国を食い物にし、金儲けを実現する手法(これもショック・ドクトリンの一種だ)について大至急、規制を掛ける必要がある。そのためには G7、国連常任理事国、国際機関の腐敗にメスを入れる必要がある。そして最優先に考えるのは『自由貿易』の見直しだ。IPEF が最重要課題で取り組むべきは、絶対これ。
デフレを長期化させる『思惑』の出所は、あり余る金を市場に出さない富裕層である。つまりデフレの原因は『持ってる金を使わない富裕層』にこそある。通貨は国が発行するもの…つまり『国民の共有財産』である。それを忘れて意味なく金庫に仕舞われては国民が迷惑する。つまりデフレ時の資本課税を『迷惑税』として取るべきだ。
そして、現在はインフレになっているが、デフレ時に大企業は莫大な内部留保を貯め込んでいる(その原資は赤字国債だ)。まずはこれを放出してもらわないと『実体経済』にまでお金が落ちてこない。だから『現在のインフレ』を鎮静化するためにも『デフレ対応資本課税』は、今においても必要(有効)だ。
そしてその税収を直ちに実体経済に注入する。その具体策が消費税『減税』である。こう説明すれば簡単な話だと、誰でも納得できるでしょ。