【ザ・磁力2/5】永久磁石の波(磁力線)は『振動が止まった波』では?(電磁誘導のヒント)
【ザ・磁力、ザ・電子シリーズ:第2弾(2/5)】
今回は『電磁誘導』『フレミングの右手の法則』『レンツの法則』を理解するヒントを得たので、さっそく紹介。思考実験の成果がようやく実り始めた感じ。まだ先は長いけど…
前回、電磁波がもたらす『引力・斥力』を書いたが、正確には『電界の力』かもしれない。そう思うようになった。要するに、電磁波と電界の力には『共通点』が見えるのに、電磁波と磁界の力には『相違点』が目立つ、際立つ。
これは結局、電磁波の力だと思い込んでいた力が、実は『電界の力』だからではないのか、と考えたから。
そしてまだ『磁力』は謎だらけ。対面する 2つの磁極は、異極なら引力、同極だと斥力が働くとされるが、自分的には、どうにも『斥力』が怪しく思える。さらにそこには回転力も加わる…
今回の内容:
A:磁力を引力・斥力で説明する図には『重大な欠落』がある…
B:永久磁石の波(磁力線)は『振動が止まった波』では(電磁誘導のヒント)
C:磁界には『振動する波』と『フリーズする波』がある…
A:磁力を引力・斥力で説明する図には『重大な欠落』がある…
普通、磁石の引力・斥力は『磁力線』を書き入れた図で説明する。それはほとんどの場合、上の図の『水色の枠内』だけを見せて説明する。
ところが、ここに記載した磁力線は『2つの磁石を枠外で動かないように固定して観測した結果』である事に気付く必要がある。変な機械を描けば、嫌でも『固定するという行為』が観測結果に影響を及ぼす事に気付けると思って、変な固定器具を入れてみた。
言い訳を一応しておくと、図の機械は『磁石に付かない金属』で作られていると思ってほしい(鉄ではない透磁率の低い金属…)。
磁力には『回転力』という属性があるが、磁石を固定してしまうと、その重要な『回転属性』が観察できない。つまり図の中に『無意識の人為的作用』が加わってしまう事で、磁石本来の性質が見落とされてきた可能性がある。
・磁力線が繋がった2個の磁石は、もはや『1個の磁石』と等価
上の『引力』を示す図は、物理的には離れた状態の2個の磁石だが、実質上は磁力線が繋がった時点で『1個の磁石』になっている。この『ややこしい状況』を作っているのも、人為的な力で磁石を強引に離して固定しているためだ。『引力の磁力線』の図に『妙な違和感』を覚えるのは、たぶん、それな。
B:永久磁石の波(磁力線)は『振動が止まった波』(電磁誘導のヒント)
磁石同士で引力が働くと、その磁力線は縮む。その結果 2つの磁石はくっ付く。で、磁力線は磁界が空間を歪めて出来た『波』と考えられるので、つまり磁界の波は縮むことで引力を発揮する。
永久磁石を固定すると、磁力線は空間を歪めた状態のままで静止する事になる。つまり磁界の波は、永久磁石を固定する事で『人為的に振動を止める事』が簡単にできる。これが磁力の厄介なところ。本質を見誤り易い理由がここにある…
しかも磁石は『背中合わせ』で異極が張り付いている。両者は共に動けないので、その磁力線は『伸び縮みできない状態で止まっている』と解釈できる。
・伸び縮み=振動
だから磁力の波は『振動しない状態』で歪んだまま静止する場合がある。で、ここで書いているのは、
・動かない磁界は電流を生じない
…の裏返しでもある。
そして磁界の波が『止まれる理由』は、磁界の元である電子が、電子スピンが揃う事で電子同士に強力な引力が働き、電子の運動が止まってしまうから。永久磁石ではその傾向が余計に強まる。とは言っても…
・止まった波には『位置エネルギー』が保存されている
…この位置エネルギーが、永久磁石の引力・斥力をより強力にしていると考える。だから別の磁石が傍にやって来ると力のバランスが崩れ、途端に反動の波が発生する。しかしそれは一瞬の出来事。なぜなら磁石は、磁力の根源である『電子自体の動きを直ちに束縛』するからだ。
・つまり再び『空間を歪ませた状態』で波は止まる
という事は、この反動の波こそ誘導起電力となって『電磁誘導』を引き起こす力の源泉だと想像できる。そしてこの力を断続的に発生させるのが『発電機』だ。やっと電磁誘導のヒントに辿り着けた…
電磁誘導は『磁束の変化』が電流をもたらすと説明する。これは現象を踏まえた説明なので、まあ納得できない事もない。さらに『発生した磁界を打ち消す向きに電流が流れる』とも言う。問題はこっち。こっちは納得できん。
これは要するに『電流によって生じる磁界は空間を歪ませる方向』の波を作り続け、電磁誘導では『永久磁石が歪ませた空間を一瞬だけ元に戻す方向』の波を作る。つまり反動の波を作る。それがフレミングの法則で示される『逆向きの電流』として現れると解釈したらどうか。
マジかー。こんな所で電磁誘導の謎に迫れるとは、全く考えてなかった。位置エネルギーに気付けたのが大きかった。これを簡単にまとめると、
・右ねじの法則(左手の法則)の磁界は空間を歪ませる
・電磁誘導(右手の法則)の磁界は歪んだ空間を元に戻す
・だから双方の電流は逆向きに流れる
…こうなる。これを言い換えるなら、
右ねじの法則は『空間を歪め続けて』磁界の位置エネルギーを蓄える仕事に電流は専念する…その磁界と磁石の磁界の相互干渉の結果がモーターを回転させる電磁力に繋がるという話になり、
電磁誘導は『一瞬だけ空間を緩めて』磁界の位置エネルギーを解放させる(磁界を振動させる)…それによって電流が生じる。
…と表現してもいいと思う。両者の違いは空間の歪み状態の『デフォルト』がどっちなのかという違いになる。
・右ねじ:電流が流れていない=磁界も存在しない(これがデフォルト)
・電磁誘導:磁石による静止した磁界が既にある(これがデフォルト)
つまり電磁誘導を語るなら、まず最初に『永久磁石』の存在を語るべきだったと思う。『発生した磁界を打ち消す方向に電流が流れる』という説明よりも、こっちの方がずっと簡単では(?)。少なくとも自分は、こっちの説明の方が納得できる。
・発生した磁界を打ち消す向きに電流が流れる
この説明では『磁界を打ち消す向き』という『新たな謎』がしれっと入っていて、これじゃあ「説明になってないよ」とずっと思っていた。それじゃあ自分は説明出来るのかというと、やっぱり今はまだ無理。電磁誘導の説明は今後の宿題とする。とりあえず…
・『止まっている=低エネルギー』と思い込んでは駄目
ギターの弦は振動が静止していてもテンションが掛かっている。つまり『位置エネルギー』を持った上で止まっている。だからチョビっと弾くだけで大きな音が出る。これは永久磁石の磁力線と全く同じだと思った。
似たような状況として『スイッチ・オフ』の電気回路がある。オフなので電流は流れていないが、電源コードがコンセントに差し込んだままならば、スイッチの両端には『しっかり電圧が掛かっている』…ここを忘れると『感電事故』に繋がるので要注意だ。
つまり、電磁誘導の根底には『位置エネルギーを秘めた永久磁石』の存在がある。これを無視して分かり易い説明など不可能だと思うね。
永久磁石が作る波は歪んだまま止まる。ここが何よりも重要。止まっているが故に『位置エネルギー』が維持されていた訳。永久磁石の磁界と電流の磁界を同列で扱ってはいけない。これを今回の教訓とする。
一方、電磁波は止まれない。それは電磁波が光子によって作られるため。光子は常に光速で進むので。そしておそらくは電界の波も『原則』止まれない。電界の波は電荷から放射される光子が通った後の残像(空間の振動)だと思っているので。原則と断ったのは、電界の波は逆位相で引力が働き、中和されるため。
この逆位相は電荷同士が引力で衝突するまで続くと考える。この中和現象は『止まる』ではなくて『消える』が正しいと思う。ただしこれは『電界=電磁波の成り損ないの波』の場合に限る。電磁波は、波の先頭に光子がいるために、力が限りなく遠くまで伝わると考える(何かに衝突するまで)。
という訳で、ひとまず『電界の波』と『磁界の波』の相違点を明確化できたと思う。こっちは『止まる・止まらない』がカギだった。他には力の向きが『r方向かθ方向か』という違いもあるが、それは次回以降で説明する。
C:磁界には『振動する波』と『フリーズする波』がある…
前項『B:』で永久磁石の波は静止した波だと書いたが、勢いに任せて文章だけで説明しちゃったので、ここでは図を使っての説明を試す。電磁誘導のヒントが垣間見えて、つい突っ走ってしまった…
波が周辺の空間を歪ませたまま、元に戻らないで空間もろともフリーズする。波は振動するのが世間の常識なので、誰だって「そんなオカルト有り得ません」と言いたくなる。
前項では磁界の元となる『電子が動けなくなるから』だと、一応の説明はしたが、その説明で納得できるかどうかは相手次第な気もする。後は『電子』が宇宙にとってどういう存在なのか…そういう切り口で説明するしかない。
・電子とは、これ以上は分割する事ができない『素粒子』である
電子同士の反発力と電子スピンが揃う事による引力の働きは、その力のバランスによって『電子同士の距離(座標)を規定する』事に繋がる。これは、
・『電子は空間を規定する粒子』だと言う事もできる。
つまり電子は、空間座標を決定する『ノード』の役割を担っていると。そう考えれば、電子が止まったら空間の振動も止まるのはむしろ当然。「それなら別に不思議な事じゃないよね」と言いくるめても大丈夫なのでは(言い方…)。
「ちーがーうーなっ」(あっちゃん)
これは違うな。これだと『どうやって読者を説得するか』というレトリックに変質している。ここは『現象の理由の説明や刷り込み』ではなく、どういう現象が見えてくるか、それをビジュアル図を使って一緒に観察し「何かに気付けたらいいね」という回にしたい。
この波は分かり易い。日常的によく見る『水紋』と同じ閉曲線の波になっているからだ。これは普通の『振動する波』の典型になっている。ただし、この図は正確なものではないと思う(振動の向きが違う…表現が困難なので)。導線を横に倒して…あーもう、ヤメヤメ。
電流は導線の中の電子が動いているから流れる。その電流によって生まれる磁界は、電流の向きに対して直交する向きで回転する(右ねじの法則)。で、実際に回転しているのは導線の中の自由電子で、その回転周期を反映して磁界は振動し、その波は同心円状の閉曲線を成す。
回転運動を真横から見ると『直線の往復運動』になる。これが平面空間を振動させる波になる。つまり磁界とは平面に作用する波である(電界と直交する平面)。
ただし、この振動は電磁波にはならないと考える。電子の回転運動は『電界の平面』には作用しない向きだと考えるから。電流から電磁波を出すには、電界の平面の向きで電子が振動する必要があり、これは『交流』にするしかない。しかも、交流周波数が『高周波』になった時だけ電磁波は発生すると言われている。
次は、問題の永久磁石の磁力線(波)を見る。だがその前に、
これは水面の波と比較すると違いが一目瞭然となる。永久磁石の磁力線の特徴は、歪ませた空間ごと固まった『止まった波・振動しない波』だという事。磁石を動かすと、磁力線も磁石と一緒になってついて来る。水面の波には外側へ向かって広がり続ける印象があるが、磁力線にはその印象が全く無い。
・磁石を動かすと、磁力線(波)もそのままの形で一緒に動く
これを『波源が止まっている場合』と『波源が移動している場合』として考えると、水面の波とは全く違っている。一番の違いは、N極から出た波がS極に戻ってくる事。つまり波源(磁石)と波が繋がっている。磁石自身が波の一部として組み込まれている。
これらの現象が示しているのは、磁石の波は振動せずにフリーズしているという事。そして磁石の波が変化を見せるのは、別の磁石を傍に置いた時。同極同士を近付けると『歪んだ空間が反発』し、異極を近付けると『空間の歪みが解消』されて空間が一体になる。それが結果的に引力・斥力となる。つまり、
・振動できない磁界の代わりに『空間の方が振動・伸縮』する
今回はここまで(つづく)。