パンデミック後の新世界を作るために (foussin’s blog)

(『見捨てられた世代』からの提言)

『電磁波』と『電流』は同じなのか違うのか…

 現在、電気について勉強中(目的は再エネのためなんだけど…)。で、最近読んだ本から電気・磁気について、自分なりのヒントを得たので紹介したい。今回は下記の参考文献(p.30)を読んでみて、自分なりに思い付いた事を書いてみる。特に『電流』とは何かを改めて考え、自分の言葉で再構成してみた。

参考文献:

副題?:絵で見てなっとく!
書名 :電気回路がよくわかる
(250頁)

藤瀧和弘・著
技術評論社・刊
2011年09月05日 初版 第1刷発行
定価1980円+税

今回注目したページ:p.30
PART 1 電気回路の素朴な疑問
電気の疑問→電流の伝搬
●電子(電荷)の移動速度は意外に遅い?!


今回の内容:

01.電子の動きは遅いけど、電流は光速で伝わる
02.まずは『電界(電場)』について
03.ここでちょっと『思考実験』してみる
04.つまり電磁波が通り過ぎた後の空間が電界となる
05.『電磁波』と『電流』は同じなのか違うのか
06.電気の振舞いから何が分かるか
07.結論:電流は電磁波(横波)が電荷の振動(縦波)に変換される現象
08.電流が光速で伝わると『変位電流』の説明がつく
09.動く電荷が『磁界』を発生させる仕組み
10.磁力には『引力優位性』がある
11.だから磁界は電流に慣性力を与える
12.磁界が宇宙に『方向性(ベクトル)』の概念を生み出した(?)
13.物質はちょっとしか動けないが重力波は光速で伝わる。電流も然り

 今回は『分室』カテゴリーなので、再エネはあまり関係がない… 04.を突破する所からが当記事の本題への入口だ。本題は電流だけど、実際の主役は『磁力』だ。

 今まで電磁波とかの記事を書いておきながら、磁界・磁力については全く触れてこなかった。それがずっと引っ掛かっていた。で、08.09.10.辺りが一番の見せ場になる。磁力の『引力優位性』を理解すると、電子同士で『引力』が働く事が理解できて感動する。ぜひ読んで。

 ただし、まだ分からない事も多い。今回言及している磁界・磁力の話は『電流』との関連付けでしか説明できていない気がする。

 場合によっては、当記事の内容に多少の修正を迫られる事もあるかもしれない。当ブログが目指しているのは、どう解釈すれば矛盾なく説明できるか。これに尽きる。今はそれだけ。

01.電子の動きは遅いけど、電流は光速で伝わる

 『電磁波』も『電流』もエネルギー(E)。E なら『光速』で伝わる。電磁波は知ってるけど、じゃあ電流は? …どんな仕組みで光速で伝わるのか。今回は、これについて考えてみる。

 電子そのものの移動速度は、直径1mm の銅線の中で 1A の電流を流した場合で秒速0.1mm 程度しかないらしい。が、電流は光速で伝わる。電流はエネルギーであり、エネルギーは光速で伝わるので。

 ただし電流は『力(F)』ではない(引力・斥力が働く訳ではない)。力だったら電線が暴れて大変な事になる。電荷は正負の引力・斥力(クーロン力)によって動く訳だが、それと電流は別の話だ。

 エネルギーなら光速で伝わるのは当たり前。

 それとは別に、電荷自体は移動しようが止まっていようが、常にクーロン力(電荷に起因する電気力=引力・斥力)を出し続けていると考える。これは物質が常に重力波を放射して、重力という力を出し続けているのと同じ理屈。

02.まずは『電界(電場)』について

 電界の基礎知識は重要なので、ここで覚えておこう。

 電荷に力を及ぼす空間を『電界』と呼ぶ。力とは引力・斥力(クーロン力)を言う。つまり電界とは、電荷を動かす能力を持った空間を指す。特に重要な事は『静止している電荷を動かせるのは電界(電荷)だけ』という事。

 磁界は『動いている電荷(=電流)』の向きを曲げるが、止まっている電荷に対しては力を及ぼさない性質を持っている。そこが電界との大きな違い。ただし変化する磁界は止まっている電荷を動かす(電磁誘導)。ややこし。

 通常は、空間にひしめき合う多数の電荷の作用によって出来上がった『電気的性質を帯びた空間』を電界と呼ぶ。要するに、1個1個の電荷を逐一調べずに大雑把に捉えるための方便として考え出された概念だ。

 ただし、空間に電荷が 1個しかなければ、その電荷を含めた周辺が電界となり、他の電荷が入って来た時には、その電荷に力を及ぼす存在になる。つまり電界は『広い空間』を指す事もあるし、1個の電荷を電界と呼ぶ事もある。

03.ここでちょっと『思考実験』してみる

 力は波動で伝わるので、クーロン力を伝えるのは電磁波(光子)だろうと推測。しかし、止まっている電荷は磁界を作れないから電磁波は放射できないと考える。だから最初は光子(電界波?)だけ出す。すると、その電界は別の電荷を探して『光速で探査できるソナー』を出して広がっていくと考える。

 ここで登場する『光速ソナー』は『静止中の電荷から放射された光子』だ。だけどそれは電磁波ではない。まず、電子や陽子など、個々の電荷が放射する光子は、最初は『電磁波のなり損ね』だと考える。

 なり損ないの光子は、電荷が止まっていても動いていても常に放射されていると考える。で、自分はこれを『電界自身(電気力線)』だと考えた。電気力線には磁界方面の振動成分は無いと考える。

 つまり電界の『電荷に影響を及ぼす』空間としての機能は、光子(電気力線)によって作られていると解釈。そう考えた。

 光速ソナー探査(=電界)で遠くの電荷を発見すると、電界は更新され、変化する。電界は『電荷を動かす』ので、その瞬間磁界を生み出し、その連鎖が続くので、以降は結果的に電磁波を放射する。電界が更新された瞬間、相手の符号次第で引力か斥力が働く。

 他方、運動中の電荷は、まず磁界を作る(動く電荷は磁界を作る)。それによって新たな電界ができ、後は連鎖反応が続くので、この場合の光子は『電磁波』を出す。ここまでをまとめると…

1. [静止中の電荷]→電界(光子放射)→ …電気力線(クーロン力放射)

2. [静止中の電荷]→電界→電荷発見→電界が電荷を動かす→
                 →磁界→電界→     …電磁波(クーロン力放射)

3. [運動中の電荷]→磁界→電界→     …電磁波(同上)

思考実験・ここまで。

04.つまり電磁波が通り過ぎた後の空間が電界となる

 では、思考実験を考察する。なるべく矛盾の無い理屈を考えてみたが、やはり変な感じがする。クーロン力を伝える素粒子が光子だって事は合ってると思うが、磁界の考え方に無理があるような気がする。

 上記の思考実験は、要するに宇宙の初期に起こった事を想像したものになると思う。現在の宇宙で『絶対座標的に完全静止している粒子』など、1個も存在しないと思うので。つまり静止中とは、観察者から見て静止しているように見えるだけの、相対的な指標に過ぎない。

 そんな風に考えると『静止中の電荷は磁界を作らない』という表現の方が不正確だった。で、次のように解釈。

・静止中の電荷は『大きな磁界』は作らない。
・静止中の電荷は『小さな磁界』は作れる。

 こうすれば、静止中の電荷も『電磁波』を放射できる。静止中の電荷が出す磁界とは『電子が 1個の磁石』という事を考えれば解決する話だった。個々の電子は 1個の磁石なので、静止中でも電子自身の N極から S極へ向かう『磁力線』を出している。つまり微小な磁界はある。ゼロではないのだ。

 ここまでをまとめておくと、

・光子は電荷(電子・陽子)から放射される→電界を放射できる
・電子(たぶん陽子も)は磁石でもある→微小磁界も放射できる
・つまり電荷が放射する光子は必ず『電磁波』になる
・つまり止まっている電荷も微弱な電磁波を出せる
・止まっている電荷が出す電磁波は外の磁界には影響しない
・だから止まっている電荷を動かせるのは電界だけになる

 まず、電気力(電荷)と磁力を兼ね備えた粒子、これを一緒くたに『電荷』と呼んでいた事も、混乱の原因だったなと思う。それは『荷電粒子』も同じだ。今後は電荷、荷電粒子と言えば『当然磁力も内包している』と考えておく必要がある。で、「止まった」「動いた」の違いにこだわる理由は、

・荷電粒子の力の強度は加速度次第で変化する特徴がある

…ここにある。それを決めるのが『磁界』だったという話。

 止まっている電荷が出す電界波?と磁界波?には強度に差がある。しかし波はお互いに干渉するので、弱い磁界の影響によって『弱められた電磁波』を出すと考える。それを微弱な電磁波と表現した。

 『電界を放射できる』というのは『クーロン力(電荷を動かす力)』を放射している事を意味する。だが、止まっている電荷が出す微小磁界の方は力(ローレンツ力)を出さない。その理由は以下の通り(以下は導線の中の電子の振舞いだと想像してほしい)。

 電子が静止している限りは、その微小磁界が『離れている別の電子』に影響を及ぼす事はないと考える。つまり負電荷同士の反発力の方が勝っていると考える。これは当然だ。負電荷同士の斥力は『2個イチ』で働く力。一方の電子自身の磁力は、電子の斥力によって遮断されている限りは『1個だけ』で完結するので、強度に差が出てくる。

 この強度の差は、電気力の能力はモノポールで働くが、磁力は 1個だけで完結できる、その違いだろう。この違いは、電荷は(同性・異性を求めて)常に一定の力を出しているが、磁性体の方は単体では無個性なのに、2個以上が接近すると突如引力が働き『強度を増した 1個の磁石』になってしまう…この豹変ぶりが磁界の特徴だ。

 電子には『-電荷,N極,S極』、陽子には『+電荷,N極,S極』と、電荷には 1個の粒子に 3方向の概念が内在していると考える。ここに『直線的な力』と『回転する力』が混ざって存在している。ここは実に興味深い。ただ、今のところ『陽子が磁石』だとは断言できていないようだ(仮説の域?)。


 今後は、そこを理解した上で『静止中の電荷は磁界を作らない』という言葉を使っていく。ただしその微小磁界は、空間を歪ませて他の電荷を動かす事はできない。それについては前の段落で既に説明しているが、簡単に済ませたいなら『初期値として存在している微小磁界込みで電荷は安定している』と解釈すればいい。大事なのは『安定性の破れ』の方だ。


 だから、静止している電荷から放射される光子は『電界と磁界が交互に打ち消し合う電磁波』を作りながら直進できる。電磁波とは、空間を細かく歪ませながら直進する光子が通った後の残像である。その残像空間を電界、磁界と呼ぶに過ぎない。

 そんな訳で、思考実験の最初に出てきた『光速ソナー』は、やっぱり電磁波だった。そもそも、電磁波を使わなければ、電界が光速で広がっていく事は出来ない。つまり電荷は、動こうが止まっていようが、常に電磁波を出している。それは電荷が 1個の磁石だから電「磁」波を出せると解釈する。

 そして、電磁波が通った後の空間が電界となる。電界となった空間は振動するので、動かない電荷[B]が存在する地点に電磁波が到達すると、[B]は空間の歪みに落ち込んで、[B]に引力か斥力が働いて『動いたように見える』…と。この表現は 1つの例に過ぎないが(別の解釈もある)。

05.『電磁波』と『電流』は同じなのか違うのか

 そこで疑問となるのが『電磁波』と『電流』は同じなのか違うのかという事。まあ、違うという事は分かるが、どう違うのかが分からない。電流は電荷が動いた時にしか流れない。電流がエネルギーならば波動として振動すべきだが、どちらかと言えば電荷自身(電子・陽子)が振動する。

 電流が波という話も聞いた事がない(交流は信号だけど直流は?)。そうなると答えは絞られてくるが、もうちょっと考えてからにしよう(後でやる)。

 つまり、今もって『電流』とは謎が多いなと。電荷を動かすのは別の誰かが出した電界だけ。しかし変化する電界は磁界を生み出し、磁界のムラは電荷の動きを曲げ(電磁力)、それがまた電界を生み出し…けっこう複雑だ。

06.電気の振舞いから何が分かるか

 電線の中を電子が移動するだけではモーターが回ったり電球が点灯する事はない。力(エネルギー)が働くからモーターは回る。モーターを回す力は電磁力に基づく偶力だと分かっているが…そして力は光速で伝わる。そして電荷の力=クーロン力(電気力)は、電荷の正負の組み合わせ次第で引力になったり斥力になったりする。

 通常の電荷はランダムに動き回っているだけなので、全体的には電位差も電界も磁界も打ち消されてしまっている。あと、静止している電荷は磁界を作れないが、この宇宙で、完全に静止している物体など存在しないとも思う…

 ここで電流の閉回路を考えてみる。一方向から電圧が掛けられると、まずは先頭の電子が電位差に反応して移動を始める。電荷が動くと、そこには磁界と新たな電界が生まれる(空間の歪み)。

 それら(電界・磁界)は光速で作られながら次々と別の電子へと波として伝わる。これによって電界内の電子がほぼ一斉に同じ向きに動き始める。電子自体の移動速度は非常に遅いが、1個の電子が放射するクーロン力(エネルギー)は変化する電界・磁界と一緒に光速で伝わり、隣の電子に次々と伝播していく。

 電子と電子はマイナス同士で反発するので、クーロン力は『斥力』として光速で伝播する事になる。しかし同時に、電子スピンの向きが揃うために磁極が揃い、磁力としては『引力』が伝わる。まずはここまでを想像した。

07.結論:電流は電磁波(横波)が電荷の振動(縦波)に変換される現象

 力は波動として光速で伝わるのが現代物理学の常識。力が働いて電荷が動くと磁界が生まれる。磁界が生まれると新たな電界も生まれる。これが相互に振動する波(即ち電磁波)となって、電子から電子へと光速で伝わる事で電流の流れも生まれると考える…これは自然な発想だ。

 要するに電流とは、電荷の移動によって生じる電磁気エネルギーの波動が導体中の自由電子を揺さぶりながら伝わる現象だと言える。振動する物質は熱を出す。だから電流は『熱』を出す。簡潔に言うと、

 光 → 振動 → 熱、と、エネルギー変換される現象だと…

 もっと細かく説明するなら、電磁波という『横波』が、空間を歪めて『電磁気力』という力を生み出し、その力によって電荷の振動という『縦波』に変換されながら伝わる現象だと言える。さらに言うなら、電磁気力は導体中の正電荷(陽子)も同時に振動させている筈。陽子は動かないけど発熱はするので、それで加熱が促進されると。

 言い方をちょっと変えて表現するなら、空間と電子と光子(電磁波)の相互作用による副作用として電磁気力が生まれ、その力が電流という振動現象を引き起こしていると結論付けできると思う。

 要するに、振動と熱のエネルギーが閉回路の中で光速でグルグル回っているのが電流のエネルギーって事になる。こう書くと、電流の閉回路そのものが『増幅回路』になっていると感じる。

 で、最後に電圧を掛けるのをやめると、電荷(電子)の移動も止まる(正確には動く向きがバラバラになる)。動かない電荷は磁界を作らなくなり(正確には中和されて無効化)、個々の電荷は等電位面の中で安定し、結果的に電流も止まる。

 等電位面にある電子は、その中でいくら動いても、その場所の電位は変わらない。これは電位差(電圧)が消える事を意味する。

08.電流が光速で伝わると『変位電流』の説明がつく

 電流が光速で伝わる事で納得できる事案がある。それは『変位電流』だ。変位電流は『真空(絶縁体)』でも伝わる。そもそも電流とは何かというと、電荷が移動すると放射されるエネルギーだった。しかし電荷が止まると電流の放射も止まる。電荷が動いている時だけ電流は『光速』で流れる性質がある。

 そして、電子が移動すると『電流は電子と逆向きに流れる』…これはそういう約束事になっているだけで、本当の所は不明だ。つまり導線の中の自由電子だけが電流ではない。電子が動けば『そこにはいつも逆向きの電流が流れている』と解釈できるのだ。これを『変位電流』と呼ぶ。

 電荷は電子(負電荷)である必要はない。陽子(正電荷)でも構わない。陽子の場合は、陽子が動く方向と同じ向きに電流が流れるので、そこは要注意。

 でも普通は、陽子が動く事は稀だ(地球上では)。金属結合などによって束縛されているので。せいぜい水溶液中を陽イオンとして流れるぐらいしかない。あとは宇宙空間でプラズマ化してるヤツぐらい。宇宙ではプラズマの方が普通らしいので、宇宙進出がどれだけ過酷かが想像できる。

 ところで、電子が 1個の磁石だという事は知られているが、陽子はどうなんだろう。電荷である以上は、たぶん陽子も 1個の磁石だと思う。ただそれは、地球上では明確に表れないだけだと考えている。

 日常での陽子は金属結合、イオン結合、共有結合によって束縛されているので、自由に動く事ができないからだ。おそらくは『鉄の磁気誘導』に陽子が磁石かどうかのヒントが隠れていると思う…


 さて、変位電流が意味を持つ素子は『コンデンサ』だ。コンデンサは絶縁体で遮蔽された構造をしているので、普通に考えれば電流は流れない筈。ところが『電流が空間を伝わる』なら話は別だ。

 コンデンサが充電中の時、電荷は並行板に貯まり続ける。この時はまだ『電荷が動いている』ので、電流が絶縁体を飛び越えて向こう側へ流れる事ができる。しかし充電が完了すると、それ以降は電荷は動けなくなる。電荷が止まれば電流も止まる。こういう仕組み。どう、簡単でしょ。

 ところで、前項での結論では、電流は『電磁波が電荷を振動させる』ので伝わる事になっていた。でも、電磁波は一見不透明な絶縁体を透過できるのか? そこでちょっと調べてみた。

電磁波と誘電体内の電子の振動

誘電体(非金属)のばあいには,自由電子は存在しないから,原子や分子の中の束縛電子だけを考えればよい。一般的にいえば,誘電体は紫外線や赤外線を強く吸収し,また吸収した紫外線や赤外線と同じ波長の放射を出すことが多く,その他の電磁波に対しては透明である。(…後略)


物理 442 物理Ⅱ 改訂版 (実教出版・刊)
第3章 電磁波と光 2.電磁波と物質の相互作用 p.143 より

野上茂吉郎・今井功・近藤正夫・著(他4名)
昭和56年(1981年)1月25日 発行

 自分が昔使ってた教科書に、このようにちゃんと書いてあった。古い教科書なので表現が固いなー。集中しないと内容が頭に入ってこない。書籍は古いけど、量子力学の情報などは今と変わってないので、信憑性は問題ないと思う。

 で、『透明』と書いてあるので、大丈夫っぽい。コンデンサの誘電体なら、尚さら大丈夫でしょ。

 つまり、電荷は絶縁体を通過できなくても、その元である電磁波は絶縁体を簡単にすり抜ける。絶縁体を通過した後は、その振動が電荷を動かす事で磁界を生み出し、再び電流が復活するのだ。コンデンサは充電が完了して電荷が動けなくなるまで、これを繰り返す。

 逆に、電磁波は金属を透過・貫通する事はできないが、だからと言って導線内で発生しない訳ではない。電磁波は『3次元空間』を振動させる波だからだ。むしろ金属を透過できないからこそ、電流を導線内に閉じ込めておけると考えよう。

 電荷(自由電子)が動けば電磁波・電流は必ず発生する。その電流は、電磁波が『電荷を振動させるから』発生するのだ。

 自分は既に、止まっている電荷も微小磁界を出している事を知っている。つまり電荷は、いつだって磁界と電界の波、要するに『電磁波』を出している。導線が金属だから電磁波が通らないという理屈は、逆に通らないと考えよう。それは大きな勘違いだ。たぶんその辺で躓いていた人は自分だけではない筈だ。


 という訳で変位電流を持ち込むと、コンデンサの電界も難しい用語を使わなくても簡単に説明が済む。変位電流は空気中でも、真空の空間でも伝わるので超便利だ。これで電流は『金属内(自由電子)、誘電体、空気中、真空の空間』を縦横無尽に走り抜ける事ができる訳だ。

 他には、電磁力(ローレンツ力)や電磁誘導なども、変位電流を使うと割とすんなり説明できる。それについては別の機会にでも、改めてじっくりやりたいとは思うが、やらないかも…

 なんだかんだ言っても、電磁誘導の説明は難問だよ…分かり易く説明するのは特に。どうしても作用反作用的なロジックに頼ってしまう。しかしそれは納得感が弱い…

 フレミングの左手の法則(電磁力)では『右ねじの法則』を使ってスマートに説明できるのに、右手の法則(電磁誘導)では『磁界を打ち消す方向』に電流が流れると説明する。これはコイルを回転させる直流モーターでの説明。ここに変位電流を持ち込むと、説明がちょっとだけ簡単になる。

 磁石を回転させるダイナモ発電(回転界磁形)だともっと複雑で、動く磁界にカメラを固定した『相対的視点』を使って説明したりする。この場合、電荷の方が逆向きに動く事で、電磁力の再現を見る事ができる。これをもって電磁力と電磁誘導の可逆性を知る…でも非常に難しい。

 もうちょっと単純な可逆性を意識した説明がほしいなあ…と思う。左手と右手の違いは『電流が逆向きになる事』なので、それだけ覚えておけって話みたいだけど(電流は中指)。

09.動く電荷が『磁界』を発生させる仕組み

 ここで話が複雑になるのが磁界の特性。電子自体は負電荷なので、電子同士のクーロン力(電気力)としては『斥力』が働く。普段の電子は、お互いが反発し合って適度の距離を保って等電位面で安定していると考える。

 で、個々の電子は、自身が内部に持つ電気力と磁気力が合わさった波、つまり電磁波を出していると考える。ちなみに、この波が引力になるか斥力になるかは相手次第だと考える(それは別の記事で扱う予定)。電荷本人もそれは知らない。自動的に決まる仕組みがあると考えるのが自然だ。

 そして、個々の電子が出している電磁波は非常に微弱なもので、外界の電荷を探すための『ソナー(電界)』程度の役割しか担っていないと考える。電界は電荷を動かすものだが、その動きがランダムならば『平均化されて無いのと一緒』である。

 しかし電流が生じて電子の移動する向きが揃うと、電子スピン(磁極)が揃ってしまい、磁力としては電子同士に『引力』が働く。これは、それ以前の安定性が破れる事を意味する。電流が流れると電子に『引力』が働く理由は次項で述べる。

 要するに電子が動くと『電気力の斥力』と『磁力の引力』の、力のせめぎ合いが始まる。力は『空間』の振動(波)によって発生するので、つまり『電磁波』が発生した事を意味する。ここで空間の意味を考えよう。それは空気が入った隙間ではない。目には見えない『3次元空間』の事である。

 電磁波は電界と磁界が直交する波だ。ここで発生する電磁波は、止まっている電荷が出す微弱な電磁波とは比べ物にならないほど強力だ。

 おそらくは、最初の微弱な電磁波に対して(これを 1 とすると)、電子の数に比例する『整数倍の強度』を持った電磁波が発生する筈だ。導線内に流れる電子は天文学的な数になる(兆倍を軽く超えるだろう)。

 要するに、電子が止まっていた時は、電界という場(電気力線と等電位面に支配されていた世界)の中だけで安定していた電子だが、その電子自身が動いた途端に突如『磁界の振動』が加わる訳。その振動は、直ちに電磁波に組み込まれる。


 電荷が動くと磁界が生じる理由は、回路内に『強い電磁波』が生じるためだった。電磁波は電界の波と『磁界の波』なので、電磁波の発生は磁界を生じる。ごく当然の話。これが『動く電荷が磁界を発生させるメカニズム』だ。意外なほど簡潔に説明できてしまう事に、逆に驚いてしまう。


 そして電磁波は、電流のエネルギーが大きいほど振幅が増す特徴を持つ。電圧が増える意味を考えよう。それは電極間の『電位差』が増す事だ。それを電子から見ると『マイナスの電荷が増える事』なので、余計に反発力(逆方向へのダッシュ力)が強まる訳。

 逆に『プラス側への引力(順方向へのダッシュ力)』と言っても同じ事になるが、電子同士はマイナスで反発するので、ここでその話は出すべきではないな(混乱を招く…)。

 導線に電圧が掛かり、電子同士の『電気力の反発力(斥力)』が強まると、それに呼応して磁力の『引力』もごく自然に一層強まる。反発力によって一瞬動くが、その動きが磁界を刺激して磁界も強まり、反発力の反対の引力が強まる。そういう仕組みだ。

 これが導線内部で『電荷の振動』を引き起こすのは容易に想像できるだろう。これが電流の正体だ。これを車に例えるなら、急発進と急制動を数百兆回繰り返しながらも、慣性では前進する…みたいな感じだ。電流が伴う電磁波は、かなり凶暴な性質を持っている。

 打ち消し合う波が発生すると、普通はプラマイゼロで何も起きないと勘違いし易いが、そうではない。実際には、最初は存在しなかった磁力の大波が突如発生している。磁力には、ちょっと回転するだけで『一瞬で斥力から引力へ変わってしまう』不安定さがあり、それが急激な力として表れる訳。

 さらに、電磁波の波は直交する平面に作用する 2つの波だから、実際には打ち消しは起こらず、一方が強まれば他方も強まる『力を増幅』する効果がある。波の打ち消しが力の打ち消しに繋がると考えてはいけない訳。

 引力と斥力が同時に起こる事は『バネの波』に例えると分かり易い。引力はバネを押す力、斥力はバネが跳ね返そうとする力だ。バネに急に力が掛かると、バネは伸び縮みを何度も繰り返す。つまり緊張感(テンション)が発生する。

 このように、波には継続性(慣性)があるので、逆に力が外界に染み出す。で、表面化した磁力は『電荷の向きを変える力』として消費される。その力は引力・斥力ではなく『回転力(電磁力)』だ。

 書籍や教育番組などで、電磁波の事を『電界と磁界が打ち消し合いながら進む波』と説明しているが、その説明は宇宙空間を飛び交っているおとなし目の状態の波を淡々と語ったものに過ぎない。

 ところが、電流が伴う電磁波は、打ち消し合う波というよりも『電気力の斥力』と『磁力の引力』の相反する力が互いに電子を押し合い、電子を激しく揺さぶる波だった。

 もちろん、電界と磁界が打ち消し合う波というのは事実なんだけど、それをプラマイゼロになるみたいに勘違いしたら駄目よ、というお話。

10.磁力には『引力優位性』がある

 それじゃあ、逆はないのだろうか。『電気力の引力・磁力の斥力』が作る電磁波である。そういう電磁波も存在すると思う…組み合わせは 3*3=9 通りあるし(一応、先に言っとくけど、下の表は後で否定されます…でも重要なヒントが潜んでいるので見落とさないように)。

電気力 磁気力
++ → 斥力 NN → 斥力
-- → 斥力 SS → 斥力
+- → 引力 NS → 引力

 だが、これらの組み合わせのうち、磁気力が斥力になるのは、電荷が『1対1』の時に限定される。しかも途中で『引力』に変わる場合が大半だ。何故か。

【ここ重要・引力優位性の話】
 そのヒントは、反発する 2個の磁石を近付けるとどうなるかを想像すればいい。正解は『くるっと回転してくっつく』だ。つまり磁石は『引力方向』へ傾き易い性質がある。だから導線内の電子の磁力は『引力』が強く表れてしまうのだ。

 その理由として挙げられるのは『磁極はモノポールの粒子ではない事』である。1個の磁石がそれぞれ N極・S極を持っているから、さっきまで斥力だった 2個の磁石が、一方が回転するだけで一瞬で引力に変わる。

 これはモノポール電荷には出来ない能力である。電荷の引力・斥力は、異なる符号の粒子間で『常に直線的』に働き、磁力のような回転成分は存在しない。磁石には生まれつき『偶力』が備わっている。だから回転し易いとも言える。

 磁石が『回転し易い』属性を持つのは、磁力線を見れば分かる。磁力線は N極から出て S極へ入る。だから 1個の磁石には回転する磁力線が必ず出来る。だからこそ、その磁力線に沿って『にゃんぱらり、と回転』してくっつける訳。

 そして『回転し易い性質』は、磁石が『引力方向』へ傾き易い理由にもなるのだ。なぜなら 1個の磁石は『自分自身に対して引力が働いている状態』と言えるからだ。そのために『磁力線には回転成分が存在する』とも言えるだろう。

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図・自分自身に対して引力が働く
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 ついでに言えば、鉄が磁石にくっつく『磁気誘導』も、磁力自身が持つ『引力優位性』が関係している筈だ。磁石に対して斥力(反発する力)を持つ磁性体は、絶対に存在しない(と思う)。

 堂々巡りの論調に頭が混乱する人も居ると思うが、物理は往々にして再帰的・自己相似的な性質を持っている。そこは慣れるしかない。


 ところで、『磁力の引力優位性』は、ある疑問を解決するヒントになる。それは、止まっている電荷が微弱な電磁波を放射できる理由である。前項では、電流が伴う電磁波とは『電気力の斥力』と『磁力の引力』が電子自身を強く束縛する波として発生すると、そんな感じの説明だったと思う(意図的にちょっと変えてみた)。

 で、『磁力の引力』は、電荷が動くと強く表れるが、電荷が止まっている時は、その磁力が引力なのか斥力なのかは、実はよく分からないのだ。なぜなら負電荷の斥力によって磁力が隠蔽されてしまうためだ。

 つまりこれは、外部の電荷と磁極が繋がっていない状態と言える。格好付けて言うと『シュレーディンガーの猫』状態だ。

 ところが『磁力線が N極から出て S極へ入る意味』を『自分自身に対して引力が働いている』と解釈すれば止まっている電荷は、とりあえず『引力の磁気』として放射できる事になる。

…ていうか、むしろ磁極の極性を決定する情報を『電磁波は初めから持っていない』と考えた方が自然だったな。つまり電荷の磁極(例えば頭のてっぺん)から直接電磁波が放射されると考える訳。で、それこそが『磁界が電界と直交する波になる理由だ』と考える。

 つまり電磁波の磁界成分は、常に N極から放射されていると考えればいい。それを受け取る側の電荷は、上から来た波は N極同士だから頭突き反発し、下から来た波には、そこは S極だからくっつくニャン、みたいな反応をすればいいだけの話だった。

 という訳で、最初に電気力と磁気力の表を見せたが、『磁気力の表』は全くの無意味だという事が分かってしまった。磁界の波は、常に電荷の N極から出ると決めてしまえいいだけの話。だって電荷は、N極・S極のどっちも持ってるんだから(まるでシシガミ様みたいだ)。引力が働くか斥力が働くか、そんなの分かる訳がない。

電気力
++ → 斥力
-- → 斥力
+- → 引力

 でも『電気力』の方は一応意味がある。電磁波には発信元が負電荷なのか正電荷なのかを区別する仕組みが存在する(それが引力か斥力かを決めるサインになる)。それについては別の記事でスペースを割いてやりたい。もったいぶる程難しい話ではないけれど…

 まとめると、電磁波にとって意味があるのは、発信元が正電荷負電荷か、それだけであり、引力か斥力かは全く気にしない(それは結果論に過ぎない)。でも、磁力が引力に傾き易いのは本当。なんとなく分かってきた…

 この記事を書いている最中に、自分の中に新たなヒントが芽生えた。勘のいい人なら気付いたと思う。取り消し線を引いた辺りから、論調の誘導の仕方が微妙に変わった事を。

 ヒントは『電磁波同士の相対速度は常に光速』…だ。

 ぶっちゃけると、引力・斥力が決まる仕組みだ。磁力の引力優勢の性質に、こんなヒントが隠れているとは思わなかった。いいねえ、マジ感動した。感動のあまり、つい文章が浮かれてしまったニャン…

11.だから磁界は電流に慣性力を与える

 電圧によって移動を始めた自由電子は、電圧に押し出された後は慣性で動いているだけで、斥力(電気力)と引力(磁力)の影響で加速・減速する事はない。

 力としては、引力と斥力はプラマイゼロでバランスが取れている。これは加速もできないが減速もできない事を示す。だから電子の移動速度は非常に遅いとも結論付けできる(電流は光速だが)。

 言い換えると、磁界の発生が電流に慣性力を与える、とも言える。この事は、コイルが電流に慣性力を与える事実とも矛盾しない…それを暗に裏付けていると思う。

 電磁気力や重力のような『力』には、なぜか打ち消し合う要素が必ず潜んでいる。それが『作用反作用・慣性力』を機能させてしまう。それがあるのが当たり前に感じてしまう世界、そこに我々は居る。

 電気力に斥力が働くと磁力には引力が働き始める。電子同士はマイナスだから反発するだけ…と思うのは短絡的だ。電子は 1個の磁石でもあり、スピンの向き次第では引力が働く事も有り得る。

 そして、力が距離に比例して減衰していくのも、打ち消し合う要素が存在する事の証だと思っている。

 重力には引力しかないのに、それでも引力を規定する要素である『質量』が、なぜか同時に『動きにくさ』を規定する要素にもなっている。その根源にあるのは、力が波として伝わる事が関係していると思われる。

 ここで唐突な話になるが、発電でカギになるのは、作用反作用で働く『逆向きの力』に負けないエネルギーをどこから引っ張って来るか…それに尽きる。同時に『慣性力』を効率よく利用する事も重要だ。

12.磁界が宇宙に『方向性(ベクトル)』の概念を生み出した(?)

 電荷が動くと磁界が出来る。これは磁界が『ベクトル』という概念を生み出す…とも言えると思う。物が動く。それは『方向性(ベクトル)』という概念の誕生を意味する。そして磁界は電流(電荷の動き)に慣性力を与える。これも何らかの宇宙の意思のようなものを感じる…

 それで、電流が生じた時に力を伝播する素粒子は光子だ。光子は、空間との相互作用によって電磁波(光を出す波)を生み出す素粒子だが、同時に電子に吸収され易い性質も持っている。

 そのため、自由電子の流れの中で光子が働いていても、金属光沢と赤外線(熱)以外の光(電磁波)はほとんど出ないと考える。

13.物質はちょっとしか動けないが重力波は光速で伝わる。電流も然り

 電子の移動速度は遅いのに、電流は光速で流れる。これを不思議に感じる人は、重力に例えれば納得できると思う。重力波は光速で伝わるが、物質はゆっくりとしか動けない。それと一緒で、質量を持つ粒子は早く動けない性質を持つと言えると思う。

電子は1Vの電圧で秒速0.1mmで動く(太さ1㎜の銅線の場合)
(非常に遅いが、これでも 1A 流れ、電荷は 1C が移動…)

 距離0.1mm
│←─→│
│     1秒後                     最後尾の電子
│      │                            ↓
│●→→│●→→●→ … →●→→●→→●→→│
│───────── … ─────────→│
      しかし、その動き(力)は光速で伝わる

 電子目線で考えれば、0.1mm は非常に大きな長さだとも言えるが。pre要素で図を作ると、たまにズレる。せめて原因が分かれば対処もできるのに…

 金属内の自由電子は非常に遅い速度で動く。しかし、先頭の電子の動きが隣の電子に伝わるのは一瞬(光速)。先頭の電子がちょっと動き始めた途端に、離れた場所にある最後尾の電子も、ほぼ同時にちょっと動く。これが電流の仕組み。

 この特性があるため、発電所で作った電流=エネルギーは、家庭に届くまでに 0.1秒もかからない。まさに一瞬だ。

 しかし電流の単位 A は 1秒間に通過する電荷の量(C:クーロン)を基準にしている。これが混乱の元になっているかもしれない。電荷の量は電子の数に比例するので、電子の移動速度が増加すれば A も大きくなる。

 これはつまり、電流自体は光速で流れるが、その電流の束が『太いか細いかの違い』だと捉えるのが分かり易いと思う。そこに『電束』という概念が生まれる。そして電子の移動速度は『電位の高低差』と『電線の太さ』で決まる。この 2つの要素は、それぞれ電圧と抵抗を表し、結局『オームの法則』とも矛盾しない。


 本当は、写真をたくさん用意した別の記事のストックもあるんだけど、アップロードに時間がかかりそうなので、今はちょっと出来ない…