パンデミック後の新世界を作るために (foussin’s blog)

(『見捨てられた世代』からの提言)

現在の経済学は改訂が必要

 新自由主義を発端として成熟したかに見えた『現存の経済学』には、明らかに詭弁が紛れ込んでいる。未だに新自由主義に囚われている政治家に、コロナ禍での日本の政治を委ねるのは大いに不安だ。その辺りも、次回の選挙の争点になると自分は考えている。

 自分は経済学が根拠とする『利己的合理性』に疑問を投げかけているので、資本主義者からは警戒されると思う。だが、今回のパンデミックを踏まえた上で既存の経済学書を読んでみれば「いやいや、それは詭弁だろう」と突っ込まざるを得ない箇所が随所にある事に、誰もが気付く筈だ。

 特に自由貿易(国際分業論)の根拠となる『資源配分・比較優位理論』は、既得権益を持つ者同士の『win win 理論』に過ぎない。ウィンウィンはただのゴリ押しであり、エビデンスなど存在しない。
 第一、リスク分散の概念が完全に抜け落ちている。なぜなら、発生するリスクは強国から弱小国へ押し付ける前提でいるため、強国側はリスクの心配をする必要性を最初から排除している訳。これでは公平な貿易など望むべくもない。

 学問の根拠に誤りがあれば、その専門書のほとんどが改訂版を出す事を迫られる。で、今回のパンデミックによって、経済学が改訂を迫られるのは時間の問題だと自分は考えている。
 これについてはジャック・アタリ(経済学者)が「利他主義こそ究極の利己的合理性である」という修正案を提示している。学問の根拠に修正が求められる事はよくある話だ。

 不完全な理論でも『クリティカルマス』に達してしまえば、それが世間では定説として受け入れられる。クリティカルマスの作用には、ポピュリズム全体主義、群集心理などが強く影響する。

 資本主義は、一部の天才にしか理解できない『真理』よりも、大衆が納得できる『定説』を重宝する。その方が儲かるからだ。つまり資本主義は、元々『確証バイアス(過信・盲信)』を蔓延させ易い欠点を持っている。そして、大衆が定説を支持する心理には『正常性バイアス(依存心)』も関わってくる。

 過信・盲信だけで経済を進めた結果、パンデミックのリスクを見逃したと言えるだろう。そして効率の最大化が、未知のリスクとのトレードオフで成立している可能性を常に意識すべきだ。なので、そのリスクは『効率を要求した資本家』側が負うべきである。

 そんな訳で、今回のパンデミックの混乱に乗じて、株高更新を続けた投資家のモラルの欠如には怒りを禁じ得ない。なので世界中の国が協調して、今回限りの『特別(スペシャル)な資本課税』の実施を提案したい。

 その具体案として、自分は『パンデミック恩赦』というアイデアを出した。これが意味するのは国家予算級の財源確保と世界の物価格差縮小、そして各国の財政赤字縮小だ。
 各国が抱える財政赤字は、持続可能社会の実現を阻む最大の障害となるので、借金は今のうちに減らしておく必要がある。もちろん、ハイパーインフレで借金を帳消しにするのは愚策中の愚策だ。

 パンデミック恩赦の概要は『先進国を強制的に物価安にして、物価と連動して資産価値も削る(貯蓄は対象外)』である。物価と連動するので実質価値は変えないが、格差は大幅に縮小させるというアイデアだ。
 インフレ経済政策は理念を破壊し、世界を破滅へ導くだけだ。早急(さっきゅう)に金融緩和政策を転換し、海外資本依存の構図からの脱却を図るべきだと自分は主張する。

 これはパンデミックが収束したら、もうお仕舞という訳にはいかない。テロも紛争も異常気象も未解決のままだからだ。この提言が世界に共有されるまでに何年かかるかは、自分にも分からない。だが、もう『理想論・空想論』では済まない所まで来てしまっている。

 環境問題と紛争と経済は、全て繋がった問題である。パンデミック恩赦は不平等条約の解消を目指しているのでテロや紛争の終結に貢献すると思うし、内需重視型(地産地消)経済への移行を推奨するのでエネルギー消費の節約になり、それが二酸化炭素の排出抑制に貢献する筈だ。

 現在のグローバル経済システムを変えないと、環境問題も紛争も無くす事はできない。特に重要なのが、混乱の極みの中で自信喪失している米国が『理念』を取り戻す事だ。
 理念を取り戻すためには『凄惨な過去と向き合う事』が求められる。米国民がクリスチャンだと言うのなら、『最後の審判』を意識した行動に期待する。それこそが、世界平和を左右する一大事にすらなっている。開き直って『アメリカファースト』などと言われては、世界の方が大迷惑を被る。