パンデミック後の新世界を作るために (foussin’s blog)

(『見捨てられた世代』からの提言)

07.地産地消型モデルでは「移動コスト」の押し付けはマナ-違反とする

 以降は、パンデミックが終息した後の「新世界」に、理不尽・不条理を持ち越さないための、細かい提案や問題提起をしていきたい。

 現在の世界経済は、物理法則に束縛された「産業資本(実体経済)」と、超高速で取引可能な「金融資本」が混在している。金融資本取引は、一瞬で決済できることを利用した「信用創造」と「乗数効果」によって、実体経済を凌駕するマネ-を生み出す。これこそが「金融工学」と呼ばれているものの正体だ。
 インテリ層が発明した錬金術は、実体経済が生み出した生産物を、金融工学で生み出したマネ-で好き勝手に消費・投資することだった。これはどう考えてもアンフェアだ。仮想通貨(暗号資産)は、その際たるものだ。

 とりあえずネットの普及により、情報とマネ-だけは一瞬で世界中に伝わる。これについては今後も変わらない。だが、物と人の移動については物理的事実として「距離と時間が比例関係にある」ことを厳粛に受け止めるべきだ。長距離になれば移動にかかる時間も長くなる。その分コストもエネルギ-も余計にかかる。当たり前の話だ。
 だが、プラットフォ-マ-と呼ばれる巨大IT企業は、移動にかかる物流コストを契約小売店に押し付けようとしている。「配送料込みの価格設定」を小売店に強要しようとしている。これは明らかに不公平だ。

 配送料込みの価格設定が成立するには、配送地域も限定する必要がある。世界中から閲覧可能なネットでそれをやると、小売店が配送料によって赤字を被るリスクがある。こんなやり方でコスト(リスク)を切り離し、それを正当化しようとするのは卑怯でさえある。とても民主的とは言えないやり口だ。
 IT企業ならばプログラミングの知識は一般企業よりも詳しいはず。当然、距離と時間が比例していることも、最短経路問題が膨大な計算量を必要とすることも知っている。その上で移動コストを他者に押し付けようとしているのだから、余計に始末が悪い。

 21世紀も、既に20年になるというのに、未だに小売店に対して「不平等条約」を押し付けようとする。そもそも、商取引のル-ルが、ある日突然変えられてしまうようでは、安心して商売を続けられないではないか。これは信用取引に対する冒涜行為と言える。
 パンデミックが終息した後、お互いを不信の目で見るか、信頼の目で見るかは、今この時点の行動で決まるだろう。商取引をするのなら、信用できる誠実な相手の方がいい。多大な犠牲を払って人類共通の脅威を乗り越えた後なら尚さらだ。

 資本主義に論理や合理(論理的に正しい事)など存在しない。利己的な効率だけを重視している。そして都合の悪い情報は隠蔽し、短絡的な利己主義をゴリ押しするだけだ。自分はその現実を何度も見てきた。


 行き過ぎた資本主義は民主主義を危機に陥れる。誠実でフェアな社会を実現するなら「民主主義ファ-スト、資本セカンド」の精神が必要だ。それを実現するために、我々はもっと努力できるはずだ。