パンデミック後の新世界を作るために (foussin’s blog)

(『見捨てられた世代』からの提言)

15.巨大株式会社は「社会的責任」を果たせないので分割した方がいい

 まず、何と言っても有限責任が無責任を生み出している。そして、株式会社の規模が大きくなればなるほど、その会社が失敗した時の社会的損害も巨大化する傾向がある。しかも会社が失敗すると、損害を補償する前に株価は暴落する。つまり資本が逃げ出してしまい、残るは自己資本内部留保(純利益)のみとなる。
 これでは、会社が社会的責任を果たすことなど不可能だ。そして有限責任時価総額ではその損害に対処できなくなり、結局税金が投入される事案は過去に何度もあった。その度に言われてきたのが「トゥ・ビッグ・トゥ・フェイル(大きすぎて潰せない)」というひと言だ。

 ならば、大規模な損害を発生させ得る巨大株式会社の誕生を未然に防止する仕組みが必要なことは明らかだし、既に存在している巨大企業を細かく分割する必要もある。
 今回のコロナ・ショックや、人口減少社会の到来、温暖化対策などを考えれば、今後は地域重視・内需重視の「地産地消」型経済へ移行するしかないと思われる。そうなると、企業もコンパクト化が求められるはず。

 巨大企業が登場した、そもそもの発端は「反トラスト法」の抜け道として用意されたとしか思えない「法人が法人を買っても良い」という会社法にあった。確かに、社会インフラに関わる大事業は個人投資家の資金だけでは対処できないが、現在なら、その対応も充分可能だ。
 有り余っている機関投資家の資金こそ、そういう社会インフラに投入すべきだ。しかも巨大株式会社を分割すれば、機関投資家が社会インフラに資本投下する隙が生まれる。

 要するに、公正な民主主義によって「正しいお金の使い道」へと自然に誘導するように仕向けるのだ。機関投資家の資金は税金同様、市民の出費を元手としている。それがインフラに使われるということは、国民の意志と責任によって社会インフラが維持されることを意味する。
 機関投資家の資金の根源は、市民が地道に積立した年金や生保の掛金だ。それが社会インフラ整備に役立てられるのなら、市民も納得できるはず。自分の積立年金が、利鞘のためなら国家でさえ売り崩すようなヘッジファンドに運用されては良心が痛むだろう。