パンデミック後の新世界を作るために (foussin’s blog)

(『見捨てられた世代』からの提言)

検証:ワクチン予約(1回目)がやっと取れた…

(執筆期間:2021/07/17sat - 2021/08/17tue)

 今年は衆院選があるから選挙の前に、なるべく早くワクチン予約・供給の混乱を検証したいと思っていたのだが、自分は未だにワクチン予約が出来ずにいて、正直参っていた。が、本日やっと1回目の予約が取れた。接種日は 8/24(火)、ちょうど1週間後だ。


 という訳で、さっそく検証を始める。
 まず、現在の政府のパンデミック対応にはツッコミどころが多すぎて、逆にどの問題から書き始めるべきか、考えがまとまらずに参ってしまった。よくもここまで、矢継ぎ早に『遺恨や問題が残る政策』ばかりを次々と施行してくれたものだ。


 6月中旬頃から、ワクチン供給が需要に追い付いていない事が表面化し、テレビで連日のように報道された。で、自分(58歳)の手元に接種券入りの封書が届いたのは、2021年6/29(火)の事だった(東京都西東京市)。

 マスコミの騒ぎを観てれば、当分の間は予約は取れないだろうと思っていたので、しばらくは我慢して 7月10日頃から予約を試し始めた。

 まずは同封の「お知らせ」を読みながら、[1]接種可能な時期を確認、[2]市内の集団接種会場・医療機関を探す、[3]ワクチン接種の予約をする、…をネットカフェから関連ウェブサイトを閲覧してみた。
 第一印象は「どのサイトも重いな…」「自分が知りたい情報がどこに書かれているのか分かりにくい…」…だった。サイトのあちこちをいじっているうちに予約フォームに辿り着いたので、必要事項を記入し予約のボタンを押したが、駄目だった。
 問題は、予約が取れない理由が全く分からない事だった。予約が取れない理由を表示してくれないのは『説明責任(アカウンタビリティ)』が果たされていないと感じた。。。

 その翌日、近所の救急病院が集団接種会場になっていたので、そこで直接予約が取れないかと思って出向いてみた。病院ロビーにいた案内人に話を聞いてみたら「病院では予約は取っていない」…との事だった。

 だが、当病院の診察券を持っていて、定期的な診療実績があるなら『個別接種扱い』で予約が出来るという話だった。つまり、個別接種には『お得意様優遇の囲い込み政策』の一面を持っている事が分かってしまった。。。

 次は『電話予約』を試した。そこで初めて『64歳以下』の予約はまだ受け付けていない事が判明したのだった。やれやれ。。。

 電話で教えてもらった事は、ワクチン予約の対象者の発表は『市報・ホームページ』でお知らせする…という話だった。そして、自宅に西東京市からの『広報』が届いた(7/15号)。↓

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西東京市・広報.jpg

2021.7/31 sat. 再度ネット予約してみた。

 が、結果は駄目だった。ただ、ページは少しずつ改善されていて、予約が取れない理由が表示されるようになった。

 ネット予約の問題点は「日中連絡可能な電話番号」が【必須】になっている事。長期のパンデミックによって電話代等を滞納し強制解約された生活困窮者は、予約の意思があっても「希望者として名乗りを挙げる」事もできない。
 つまり、政府が言う「全ての希望者」から自動的に除外されてしまう。なんとなく、政府与党の悪意が透けて見えると思わないか?

 その後も何度か予約を試したが、全然予約できなかった。

 誰もが「初めての経験」だったので、政府で混乱が起きたのも仕方がないという論調が巷には出ている。が、今回の混乱を次の有事に活かしていくためにも冷静な検証が必要だ。今回、混乱が起きた主な理由は、次の二つに集約されると思う。

  • 欲張りすぎた成果主義がもたらした非効率(供給ルートの複雑化を招いた)
  • 利潤追求型の「民間システムの踏襲」が「囲い込み・早い者勝ち」パニックを誘発

欲張りすぎた成果主義がもたらした非効率(供給ルートの複雑化を招いた)

 職域接種・個別接種・大規模センター接種・自治体集団接種…という多様化が供給ルートの複雑化を招き、各方面での適正供給量の把握を困難にした。
 欲張りなプランを立てたのは、効率に目を奪われ易い「資本主義政党(自民党)」の悪いクセが出たと捉えるべきだろう。衆院選の前に成果を出したかった政府与党の勇み足が招いた混乱と捉えるべきか(自分は、もっと恣意的な悪意を感じているのだが、それについては後述する)。

 しかも、供給量を把握するシステム(ワクチン接種記録システム VRS)は接種者の現住所しか注目していなかった。これでは職域・個別・大規模センターで接種した人の行動履歴が正しく反映されず、各方面でのワクチン備蓄数が正確にカウントできない。供給・備蓄量を正確に把握するには「接種した場所」の把握が最重要の筈。

 そして、上記の混乱を招いたのは、時間はたっぷりあった筈なのに事前準備をせず、思い付きで走り出したとしか思えない「政治主導」にある…
 政府内には優秀な官僚が大勢いる筈なのに、彼らの頭脳を活用できなかった「政治主導」のお粗末さが露呈したと言える。
 政治主導には政治家に権力が集中する欠点がある。政治家自身が、手中にした権力に対して責任を持てないのであれば、官僚の意見にもちゃんと耳を傾けるべきだ。

…と、政治が誠実に、民主的に行われているのであれば、ただ「無能」を罵るだけで済むのだが、自分は違和感・不信感を拭えないでいる…

利潤追求型の「民間システム」の安易な模倣が「囲い込み・早い者勝ち」パニックを誘発

 さて、上記の供給量を把握する VRSシステムが接種者の現住所しか見ていなかった理由は、民間システムの安易な模倣ではないだろうかと考えた。好意的な捉え方としては、そう考えた(つまり別の考え方もあるが、それは別の機会で述べる)。
 おそらく、システム構築に関わったエンジニアは、自治体を「ロジスティックの拠点となる物流センター」と勘違いしていたのではないだろうか。自治体はワクチン受注を承る物流センターではないので、発注(接種希望者)に応じてピッキングする従業員がいる訳ではない。

 企業は「一極集中システム」で利益の囲い込みを行うが、自治体がそれを真似しても絶対に上手くいかない。自治体は国・都道府県・市町村を結ぶ「分散型ネットワーク」を構築する必要がある。
 自治体の行政サービスは「囲い込み」とは無縁でなければならない。なぜなら、行政サービスは「全住民」に漏れなく公平に届けなければならないからだ。

 ところが、職域接種・個別接種では企業や個人医院などによる「囲い込み」が起こり得る。早く接種を終わらせて金儲けを有利に進めたい…という利己的合理性が顔を出し、早い者勝ちへの歯止めが効かなくなってしまう。

 自分はワクチン接種を希望しているのに、その予約が取れない。政府は「希望者全員に接種できる量を確保している」と言ってるが、「自分は希望者としてちゃんとカウントされているのだろうか」…と不安を感じている。

 この不安を解消するには、予約以前に「接種を希望するかどうか&希望する接種会場を決める事前アンケート葉書」とかを郵送してほしかった。それを元にすれば、ワクチンが届いた都度に、自治体から年齢順で自動的にワクチン接種を実施できた筈なのだ。

 急がば回れ、だ。予約の意思を事前確認してから粛々と集団接種をしていれば、パニックも混乱も起こらず、効率的な接種計画を遂行できた筈である。
 自治体のサービスやワクチン供給量にキャパシティの限界が存在するなら、自治体から住民へのトップダウンで「ワクチン接種の通知」を出すのが一番合理的(論理的に正しい)な手法なのだ。

 早い者勝ちの予約システムは「資本主義のやり方」を踏襲したものだ。早い者勝ちは「大衆のパニック」を誘発する。政府が住民のパニックを煽ってどうすんだって話だ。

 ワクチン接種に不公平感が出ているのは、ワクチン供給量が限られているためだが、早く接種を終わらせて金儲けを有利に進めたい…という利己的合理性に振り回されてはいけない。
 パンデミックは「社会全体で痛み分け」にすべき事案だからだ。早く接種を終わらせた者が有利になる政策を進める欧米諸国や中国の真似をするのは、日本の民主主義のレガシーに汚点を残す事になるだろう。


 さて、ここまで冷静ぶって書いてみたが、内心はハラワタが煮えくりかえっている。なぜなら…

 政府与党は、正確なワクチン供給量を知り得る唯一の組織である事を利用して、自身の支持団体を優先接種させるために「職域接種」を割り込ませた疑いがある。
 これは行政の私物化を意味する。株取引なら「インサイダー取引」に相当する犯罪行為に等しい。これは支持層にワクチンを使って便宜を図った賄賂みたいなものだが、この囲い込みに乗っかったのは、残念ながら与党だけではなさそうだ。。。

 さらに、未だに職域接種の予約ができていない中小企業の連合会に対して「次回選挙でウチに入れてくれないと、選挙前にコロナ死するかもしれないよ…」と踏み絵を強要する事も可能だ。まあ、「そんな事実はない」と反論が出るだろうけど。
 社会全体に呼びかければ、#me_too で反応する人も少なからず出てくるだろうと自分は予測している。不備ループと同様、ほとんど脅迫に近いと自分は思っている。
(つづく)