パンデミック後の新世界を作るために (foussin’s blog)

(『見捨てられた世代』からの提言)

インフレ懸念で「金市場」が加熱する理由(かなり脱線)…

 最近、金価格が上昇している。変異ウィルスの感染拡大による生産活動鈍化の懸念もあるだろうけど、最大の理由は米国バイデン政権による200兆円を超える財政出動によって、市場でドルがダブつき始めた事が大きいと思う。
 これは米国の中間層が、当面は働かなくても消費に専念できる程の手厚さだ。それは需要に供給が追いつかなくなる事を意味し、それによるインフレ懸念から財産を金に替える動きが出ている…そう捉えるのが妥当な線かと。

 株や債権の資本所得で暮らしている富裕層(不労所得者)は、インフレが懸念される状況になると「金」に走る傾向が強い。金には「貨幣」としての価値があるにも関わらず、地球上のストックは有限なので通貨や証券のように大暴落する事がない。

 事実、金本位制の時代では、新たな鉱脈が見つかって金銀が市場に過剰供給するだけで「急激なインフレ」になった。
 その場合、資産を金に交換しておけばインフレによる資産の暴落を阻止できる。以降は、金を小出しに両替すれば、その時の通貨レ-トで現金化できるので、当面の生活に困る事がないという仕組みだ。

 この時、金価格の上昇率は物価と連動する。で、国家も金市場に介入し、富裕層による金の買い占めを阻止する。これにより国家は不労所得生活者を一掃し、さらに財政赤字まで帳消しにする。
 ちなみに、二度の世界大戦で巨額の賠償金を負わされたドイツは、ハイパーインフレによって賠償金を帳消しにしたが、それが社会を混乱に陥れた事からインフレがトラウマになり、それ以降、より強く金に執着する国になったそうだ。

 インフレには、このように格差や負債を縮小する効果もあるが、庶民が長年掛けて積み上げてきた貯蓄を短期間で無価値にしてしまう残酷さも持っている。
 これは結果として、国民の貯蓄を使って国家の負債を返済した事を意味し、事実上の増税だ。これを「インフレ税」と呼ぶ。だからこそ、政府が「インフレ経済政策」に梶を切る時、国民は監視の目を厳にする必要がある。


 さて、金の先物価格の上昇は、世界経済に歪みが生じた結果と言っていい。
 当ブログで何度も書いているが、自国第一主義パンデミック回避策では世界の歪みを拡大するだけだ。先進国各国の「財政出動」も「インフレ経済政策」も自国第一主義から脱していない。
 それらの政策が外国に与える影響について、全く考えていないからだ。「勝ち負け」ばかりにこだわった外交に縛られていては、世界から紛争を無くす事などできる筈がない。

 もうひとつ、これも何度も書いている事だが、パンデミックのような非常時に、経済を「自由競争市場」に任せておくとロクな事がない。弱みに付け込んだ商売の蔓延を引き起こすからだ。「この状況をチャンスと捉えて…」などという意見は、利己主義を正当化する言い訳にしか過ぎない。

 社会の非常時を乗り切る公平な最善策は「社会全体で痛み分け」にする事だ。弱者にばかり苦痛を押し付ければ反発を招くのは当然だ。それが出来なかった先進国各国政府の責任は重い。


 日本の大都市圏で3度目の緊急事態宣言が出て、さらに延長・追加指定された。さらに、インドや台湾でも変異ウィルスが猛威をふるっている。
 一方、対照的なのが中国や欧米諸国の動きだ。中国は「ワクチン外交」で台湾を揺さぶっている。これは間接的に、ウィルスを取引材料や武器として利用している事を示している。
 既に中国や欧米諸国は、早々にワクチン接種を終わらせて元の経済活動に戻す気満々だが、先進国の莫大な財政出動によって、世界は先進国主導のインフレ経済をさらに加速させるだろう。

 それは途上国をさらなる物価高と低賃金で束縛し、さらなる社会不安を呼び起こす。潤沢な給付金を得た米国民は世界中(中国以外)の財を買い漁り、それによって膨らむ貿易赤字をタテに「不公平だ。もっと米国製品を輸入しろ」と言い出すだろう。

 まあ、米国が金を使ったお陰で日本の家計が潤うのなら、お返しも必要だろうけど…今の日本に米国民と同レベルの消費意欲は無い。無理ゲーもいいところ。
 そんな活力があったら、人身事故で電車が止まる事が、ほぼ毎日繰り返されたりはしない。そもそも、今の日本人の目に「Made in USA」が魅力的に映っているとは思えない。

 今後の日本は、欧米英の動きに注視しつつ、強権化する中国・ロシアも注視しつつ、それ以外の国々とも民主的な交易を続けなければならない。そして、新型コロナの死者数よりも自殺者数の方が多い現状を重く認識すべきだ。

国内感染:5/20 thu 01:31 (NHK調べ)
2021.05.19 wed 5819人(5/19 全国感染者)
1293人(5/19 全国重症者)
97人(5/19 全国死亡者)
累計感染者(2020~2021.5/19):70万 215人
累計退院者(2020~2021.5/19):60万9745人
累計死亡者(2020~2021.5/19): 1万1972人
出典:https://www3.nhk.or.jp/news/special/coronavirus/data-all/
新型コロナウイルス 日本国内の感染者数・死者数・重症者数データ|NHK特設サイト』より抜粋
国内自殺者数:
2019年(令和1):20,169人
2020年(令和2):21,081人
2021年(令和3): 7,133人 (1~4月末)
累計自殺者(2020~2021.4/30):2万8214人
出典:https://www.npa.go.jp/publications/statistics/safetylife/jisatsu.html
『自殺者数|警察庁Webサイト』より抜粋

 気が付けば、日本の累計感染者数は70万人を超えた。が、自殺者数は新型コロナの死亡者数よりも1万6千人も多い(赤字部分に注目)。2019年までは、自殺者数は減少傾向が続いていたが、昨年(2020年)は増加に転じてしまった。

 自殺者数は例年と比べれば、それほどでもないと思う人もいるかもしれないが、それは民主に無頓着な社会主義的な考え方である(社会の中で犠牲者が出るのを容認している)。
 それよりも、自殺以前にホームレス化する生活困窮者が大勢いると捉えるべきだ。生活困窮者の死は「統計に表れにくい」という特徴がある。それは彼らの死因が多岐に分散されるためだ(病死・餓死・過労死・事故死・他殺・自殺…)。

 ビッグデータ(統計)にも死角がある。多数決にも死角はある。それを踏まえた上で、デジタル法や国民投票法の議論をすべきだと自分は思っている。今生きている人間の都合で、安易に法改正が行われる事は、絶対にあってはならない。
 それは、いつの間にか民主主義が骨抜きにされるリスクを含んでいるからだ。学術会議の問題は、その典型だと思っている。学術会議の人事選定について疑問視する声が上がっているのは承知しているが、政府に批判的な人材を排除しようとしているようにしか見えない今のやり方は、明らかに民主主義ではない。
 与党は、当時の文脈を捻じ曲げる「法解釈」を行い、未だに定員割れ状態を放置している。選挙前に、こんな事をして平然としている与党を続投させ、憲法をいじらせるのは大いに不安を感じる。

 ところで、先週よりも感染者数が減少しているが、これは天候が影響していると自分は考えている。西日本では異例の「早過ぎる梅雨入り」になっているし、東日本も今月はずっとグズついた天気が続いている。
 雨天だと、スーパーなどもガラガラになる。皮肉な話だが、緊急事態宣言よりも「雨天」の方が、外出自粛には効果がある。


 現在の世界経済は「金融資本インフレ・実体経済デフレ」の二極化が進んでいる。生活費を賃金収入に頼っている一般市民にとって、金融資本由来でインフレになっても、賃金収入が増える見込みはない。
 賃金は会社の売り上げから支払われる。つまり、実体経済がプラス成長しなければ賃金収入はアップしない。実体経済デフレの現状では、賃金アップは望めない訳。

 で、こんな事になっている根本原因こそ「行き過ぎた資本主義」にある。資本の力で民主主義までも囲い込んでしまっている。資本主義の囲い込みが社会主義独裁政権台頭の要因になっている事にも気付くべきだ。
 で、その経済構造を、パンデミックの今こそ抜本的に見直す好機だと自分は考えている。重要な事は「上から目線の施し」ではなく、世界中が「足並みを揃える事」に意識を集中する政策立案だ。

 そのために自分が提案したのが「パンデミック恩赦」というアイデアだ。その具体案を「本編目次(00~38)」の 02~06 で述べている。是非とも目を通してほしい。今でも揺ぎ無く、これらの記事内容に自分は確信を持っている。

02.先進国が協調しての「強制的物価引き下げ政策」の実行を提案
03.給与収入が「中央値」を超過している全給与所得者の給与を物価連動カット
04.全世界が協調し「債権の強制的物価連動値下げ」の実行を提案
05.全世界で「公開株を一定割合で現金化」し、それを国民投資に充てる
06.産業構造を「地産地消」型へ移行

 これらを「理想論・空想論」などという一言で片付けないでほしい。今、一番重要な事は、具体的に何がしたいかという「主体的な意思表示」だからだ。それを諦めてしまっているから、閉塞感に悩まされているんだろ?

 もうひとつ。「時代にそぐわない」という反論をする人もいると思う。が、その時代が今の混乱を引き起こしている事実を認識してほしい。オカシイのは時代の方で、時代の方を修正すべき気運にある。

 資本主義は金儲けを正当化するために、モラルを切り崩す形で法改正を繰り返してきた。金融緩和・貿易自由化・TOB(会社乗っ取り)・キャッシュレス決済・暗号資産…これらが人道上の問題を抱えている事実には全く触れずに強引に押し切ってきた。
 その歪みは、パンデミックバブル崩壊のような非常事態の時に破裂する。働き盛りに平成不況と丸カブリした我々の世代は、その矛盾を実際に見てきた。それが再び繰り返されようとしている。

 ワクチンによって新型コロナが収束した後、何事も無かったかのように、世界が元の経済活動に戻ってしまっては、それは世界中の紛争を終わらせる機会をも逃してしまうだろう。
 で、国境に囚われない活動をしている「国連」や「ゲイツ財団」などに属している人たちにこそ、上記文書が届く事を強く望んでいる。

 さらに、当ブログ本編は 00~38 まである。そこでは「新世界に不条理・理不尽を持ち越さない」ために何をすべきか、自分なりの考えを示した。面倒がらずに全部読んでほしいと思っている。詳しくはタイトル下の【本編目次(00~38)】を参照してください。

 とりあえず、ブログのアクセス解析をして気になったのが…

36.新世界で問われるのは「大人の責任」である

…これを読んだ人が、ほとんどいないらしい、という事。責任を取らない大人の蔓延が、今の危機的状況を作り出している。当文書は非常に重要で、難しくない文体を心掛けたので、是非とも目を通してほしい。

 子供達は、空気の支配から抜け出せない大人達が「自分達を助けてくれない」事を本能的に見抜いている。何を言っても無駄だと諦めてしまう訳…その結果が架空の異世界や中二設定に引き籠る一因になっていると自分は考えている。

 誰だって、架空の異世界よりも「現実世界が面白い方がいい」に決まっているだろう?