パンデミック後の新世界を作るために (foussin’s blog)

(『見捨てられた世代』からの提言)

問題提起:『モラル・理念』の視点で再考を促す大人の不在を嘆く…

 先週、不毛な議論『朝まで生テレビ(テレ朝)』をぼんやり観ていて…

 最近の生テレビは特に酷いな。パネリストの発言を遮って「私利私欲の自民党議員はいない」と田原総一朗は断言していた。司会者が断言しちゃったら後の議論が続く訳ない。彼は高度成長期時代の成功体験から抜け出せず、頭が固まっているとしか思えない。で、これ以上観てても無駄だな…と思い、寝てしまった。

 こういう不毛の議論を観ていて自分が危機感を覚えるのは「それって、モラルと照らし合わせてアリなんですか?」…と再考を促す大人の不在だ。

 コロナ禍の今と重ね合わせるなら、平成不況時代にフジテレビで放送していたドラマ『救命病棟24時』での新藤先生(江口洋介)の「それって患者と関係あるのか?」という口癖にも通じると思う。

 それは、モメている現場が理念を取り戻すきっかけになる言葉を発する人間の不在である。誰もが『大衆を煽って味方につければ勝ち』と考えるようになってしまった。いつまでもこんな事を続けていたら、社会はバラバラに分断されてしまう。

 自分は若い時、山口瞳伊丹十三のエッセイをよく読んだ。彼らの本は自分にとってはバイブル的存在で、自分の人生にも強烈に作用してきた。自分と比べれば、彼らも相当な金持ちだったけど、彼らの文章には一本筋の通った理念があり、常に問題提起を続けてきた。


 政治家が、何となく流れで決めた法案一つで、得をする人も居れば、大損して自殺する人も必ず出てくる。立法・行政には『常に人死にが出る』という覚悟を持って取り組んでもらわないと国民の信頼は得られない。

 そのためには『絶対に譲れない公平な理念』があるのだと、強い意志を示さなければならない。それを絶対に忘れないでほしい。で、こういう事は日本の政治家だけではなく、同盟国のアメリカや国連にも知ってもらいたい事だ。


 場当たり的な国益を優先する事で、協力したり、戦争したりを繰り返す米国の行動には、本心では日本人だってウンザリしている。
 かつては軍事支援していたタリバンに「テロリストをかくまっただろ」と言って戦争を仕掛けたり…これって武器を売り込むための『マッチポンプ』大作戦に見えなくもない。今思えば宣戦布告の理由だって、家康の『国家安康』と大差ない言い掛かりに見えなくもない。
 そして、トランプ政権ではエルサレムイスラエルの首都として認めてしまった。これが新たな火種を生むのは確実だろう。
 国際的に見れば、イスラエルパレスチナ人にしている事は『完全に悪』だと思うが、ユダヤ人の票田を気にして、バイデン政権も懸念の意すら言えないでいる。理念のない国の行動には一貫性が見られない。これは信用を自ら放棄したも同然だ。

 とりあえず、敗戦国という立場から受忍を受け入れてきた日本だが、今の状況はあまりにも酷過ぎる。批判ぐらいはハッキリ言わせてもらいたい。
 アジア・アフリカ圏の民主主義者の多くが「欧米人の方がよっぽど野蛮人だろ」と思っている事を、そろそろ欧米人にも自覚してもらいたい。一般市民は戦争も侵略も望んではいない。平和な暮らしを望んでいるだけだ。

 結局、アメリカは『口だけ民主主義』じゃねーか、と世界中の市民は思う訳。そう考えれば今回の『AUKUS』は、簡単に言っちゃえば『白人軍事同盟』以外の何者でもない。
 調子に乗って強権化する中国も酷いけど、米・英・豪も露骨に酷い。で、米国に反発した仏だって、未だに植民地統治を続けている訳で、やっぱり酷い。

 中国も欧米を刺激し過ぎ。ギスギスし過ぎ過ぎ(回文:出典『アニメ・名探偵コナン』より)。欧米人は忍耐力がないから、中国が強権的態度を続けると欧米もすぐに軍事力重視に戻ってしまう。中国はユーラシア大陸で広大な領土を既に保有しているんだし、あんまり欲張るのは大人げないんじゃないだろうか…


 そして、世界は理念を取り戻せないまま、今回も『力』で解決する方法を選んでしまった。現在の『世界標準』には理念が欠如したままだ。なので、真の平和を望むのならば「今の世界標準は正しくない」と皆で声を挙げる必要がある。

 そんな今だからこそ、日本が民主国家として世界から信用されるためには、資金力や武力に頼らない『民主的な理念』を貫く事こそ一番重要だ。
 そのためには、拝金主義に傾倒する海外資本依存度を抑え、各国の自給率を脅かさない公正貿易を唱え、日本自身も自給率を高めて内需循環型経済へ転換する必要がある。

 それは『持続可能社会』の実現にも不可欠であり、環境問題・テロ・紛争・難民問題の解決にも貢献すると確信している。
 見習うべきは、1万年以上も続いた日本の『縄文時代』である。人類史上、これ以上の持続社会は、未だに発見されていない…


 今回は『モラル・理念』を問い直す重要性に言及した。理念を曲げない意志があれば、フェイクやデマ、陰謀論に流される事はなくなる。利害に流されてアッチについたり、コッチについたりを繰り返しているから、事の本質が見えなくなるのだ。
 その背景にあるのは、確実な利益を得ようとするがゆえの『効率主義』だ。効率を追求した挙句、極端な論調に飛び付いてしまう訳。行き過ぎた効率化の裏では必ずリスクが膨らみ続け、最終的に破裂する。
 で、その失敗を踏まえて、今度は逆方向の効率化に走り過ぎてしまう。つまり極端から極端への方向転換を何度も繰り返してしまう。失敗した原因が『行き過ぎた効率化』にあると気付けなければ、人は同じ失敗を何度でも繰り返してしまうだろう。


 さて、総裁選のさ中で飛び交う玉石混交の情報洪水に大衆が呑まれないように、エビデンスの弱い自己正当化の発信に対して、常に牽制する意見を出し続ける必要性を感じている。書きたい事は山ほどある。例えば…

●変動為替レートが海外との物価格差を吸収する作用(インフレ隔離効果)を、自由貿易が台無しにするリスクは無いのか…とか。今の日本円は割と安定しているのに、高い輸入品を買わされている現実をどう捉えるのか。
 今回の物価高は、米中二国の需要過多に起因する品不足が原因だが、そのリスクを自由貿易は回避する術を持ってなかった事がバレてしまった訳。どうすんだよ…
 TPP は始まってしまったが、問題があればいつでも修正できる余地を残してほしい。今年の TPP 議長国は日本だ。つまり自民党が現在の TPP を取り仕切っている。自分はこれを危険視している。だって、国会を全く開いていないのだから…。国会は内政問題だけを扱っている訳ではない。外国を牽制する抑止力にもなるのだ。
 このタイミングで、中国や台湾が相次いで TPP 加入申請をしてきたのは、衆院選を睨んで政府与党に揺さぶりを掛けている訳。おそらく彼らは TPP の脆弱性に気付いて仕掛けて来ている。ここで選択を誤ると、米国のように理念を手放す事になる。
 この件については米国の言いなりではなく、当事国同士で考えて結論を出す必要がある。重要な事は、今後も新たに加入申請があった時に、現状のルールでやって行けるのか…という事も含めて加入国同士で慎重に議論を深める必要がある。
 場合によっては、TPP は単なる貿易協定の枠を超えた『民主的な連合』に化ける可能性すらあり得る(社会主義国も混ざってるけど)。台湾は、国際的には国家(中華民国)として認められていないが、実質的には『民主主義国家』の体裁を満たしている。社会主義の中国とは『別の自治体』である事は明らかだ。
 警戒すべきは EU を離脱して好き勝手やり始めた英国の動向だ。ブリティッシュロックは大好物だけど、英国政治は腐ってるから嫌いだ。

●財政規律(プライマリーバランス規律)が『国民救済策』の足枷になっているとは思えない…という話。政府は儲からない貧乏人相手に給付金を出す気などハナから無い。乗数効果(波及効果)が期待できないからだ。それが『不備ループ』という冷酷な形で表れている訳。
 財政規律は都合の良い『言い訳』にすぎない。財政規律が撤回されても、別の言い訳が用意されるだけだ。リーマンショックのような暴落が起これば、政府は大慌てで公的資金を注入するが、コロナ禍で株高が続いている現状では『ムダ金』を出す気は毛頭ない…そういう既定路線だろう。
 つまり『国民のために働く』というスローガンは嘘。もしくは「権力者や富裕層だって国民だし、そのために働いてるんだから嘘はついてないだろ」…とか。だが、金融緩和政策で一番儲けているのは国民ではなく海外投資家だ…
 累進課税と資本課税増税(インカムゲインキャピタルゲインへの増税)を本格化させれば、給付金の財源もちゃんと確保できるし内需産業も活性化できる。同時に消費税減税も行い相対的に労働分配率を向上させれば、自然に税収も増えるのだ。
 日銀が筆頭株主になっている株式に産業上の実質価値は無い。とっとと売却すべきだ。それで逃げ出す海外資本など、最初から当てにすべきではない。ギャンブラーに振り回される経済からの脱却を図るべきだ。
 いいですか? 世界中で格差が問題になっているんだから、日本が累進課税増税すれば、それに追随する国も続々と現れる筈だ。公平で理念を曲げない国として、世界に見本を示す絶好の機会だと思うべきだ。

憲法改正が必要なのは日本国憲法ではなく、かつての連合国側である。なぜなら、日本国憲法は二度の世界大戦の反省を踏まえて策定された『世界トップレベルの平和憲法』だからだ。
 だが、戦勝国側は「俺ら勝ったんだし、正義でしょ。自国憲法を改正する誘因が働く訳ないっしょ」…これが現在の混乱を助長している事を、一番最初に発信しておく必要がある。それをしないで憲法改正するのは、民主主義を後退させる愚行である。
 戦後の日本は、この憲法を遵守し、同時に憲法に護られる事で『平和な国という信用』を獲得してきた訳。日本を訪れる観光客は『安心』を得るために来ている。それを忘れてはならない。『キナ臭い世界標準』に吞み込まれては駄目だ。

●選挙に備えて「どの政党に入れれば良いのか分からない」という若年層のために、日本の政党を簡単に説明しておきたい。公平を期すために、自分の立ち位置も明言する。まあ、民主主義者だけど。
 二大政党制や小選挙区制に対する疑問も提起したい。昨年の米大統領選で、二大政党制による決選投票が、結果的に赤と青の分断に発展したのを世界中が見ていた。あれは二大政党制の失敗を世界に突きつけたと思う。
 決選投票に持っていく過程で、多様な意見が徐々に排除されていった(例えばサンダースの意見とか)。それが結束ではなく分断に向かった元凶だったと自分は考えている。二大政党制には消去法が働き易く、それが国民の要望を汲み取れない欠点として表れた…どうかな?

●鼻出しマスクは ○ か × か。科学・モラル・自由・権利・義務という総合的知見で捉えれば、自ずと答えは出てくる。自分の意見は △ だ。つまりケースバイケース。要は、モラルのハードルは法律のハードルよりもずっと高い…という話。これ(モラルの事)を同調圧力と呼ぶのはエゴイストの詭弁だ。
 法律には弱者に対する慈悲の精神が加味されている。だからハードルが低くなっている。大企業が得意げに『コンプライアンス』とか言ってると、嗤ってしまう。大企業が法律の慈悲の精神に甘えて大儲けするのは、どうなの? …という話もしたい。

●多様性尊重は自制心を生み出す(自制心が壊れた大衆はウィルス化する…)。ポピュリズム(資本主義の煽り)や全体主義(社会主義の煽り)に踊らされた大衆を冷静に観察すれば、ウィルスと似たような行動をしている。つまり現代社会は、いつの間にかパンデミックが起き易い状況を作り出していた…という話。

●宗教対立について。この問題は右翼(超保守)と同様で、非常にデリケートで扱いに困る。恐怖政治に傾倒し易い上に、科学の論理が通用しない所が特に困る。科学的で冷徹な精神分析を嫌う人は多いと思うが、それは宗教にも当てはまる問題だと感じている。

年金問題。消費税で賄えば年金受給者も負担するので世代間格差の解消になるという論調がある。が、それは詭弁だ。高齢者と若年層では、若年層の方が消費活動に積極的…だから世代間格差の解消になるとは思えない。
 しかも 10% の消費税で、既に低所得者は死に体に陥っている。さらに、消費税は逆進課税なので、今後さらに増税したら結局は若年層がダメージを受けるのだ。社会保障を消費税で賄うなんて政治の怠慢だ。
 こう考えるべきだ。金持ちと貧乏人では、長生きできるのは経済的に余裕がある金持ちに決まっている。早死にする貧乏人が金持ちの年金を支えるなんて不公平だ。だから年金の財源は『累進課税7割、保険料3割』ぐらいが丁度いい。
 だから高所得者累進課税税率の改訂が急務となる。現状の保険料 5割負担では、未納者が増えるだけだし受給前にみんな死んじゃうよ…。要するに計算上の絵空事に過ぎず現実的ではないのだ。そんなのは社会保障とは呼べないだろ?

●環境問題。『アンモニア発電』というのが注目を浴びている。アンモニアは燃やしても二酸化炭素が出ないらしい。アンモニアは地球上のどこにでもある物質だ。ほとんどの生物が毎日のようにアンモニアを排泄しているほどだ。
 燃焼というのは『酸化反応』なので、必ず何らかの酸化物が作られる。その物質が『温室効果ガス』だったら無意味となる。マスメディアや科学者は、その辺りの情報もちゃんと出してほしい。
 世界が自由貿易を推進すると言うのなら、クリーンエネルギーで動く航空機や大型船舶の開発を本気で考える必要がある。船は常に『水』に囲まれている。水をエネルギー源として活用する方法を考えてほしい(水流・水温・化学反応を利用した発電など)。
 一方、大型航空機をクリーンエネルギーで飛ばすのは難しいと思う。が、航空業界には『空港(エアポート)』という運用スキルがある。『空を飛ぶ、宙に浮いて移動する』という考えに固執せず、柔軟な発想が必要だと思う。例えば、レールやパイプラインなどで空港を結ぶという考え方だ。
 自動車は走る発電機でもある。走っている時は風力発電も出来るし、下り坂発電、ブレーキ発電だって出来る。その発電効率、蓄電効率を上げていく事も重要だ。
 エネルギー問題だけが環境問題ではない。異常気象による洪水や山火事への対策も必要。米国だったら、ハリケーンの通り道から乾燥地帯(カリフォルニア州とか)へ至る『水のパイプライン』を作ったらどうだろう。ハリケーンの巨大エネルギーを利用できないのはモッタイナイと誰もが思っている筈。パイプライン建設や管理によって、化石燃料産業に依存する『赤い州』に新たな雇用が生まれると思う。さすがにこれは空想論かもしれないが…
 レジ袋有料化。現在は『植物由来プラスチック』や『石灰岩から作られるレジ袋』などが登場している。石灰岩化石燃料ではないが『化石鉱物』ではある。なので二酸化炭素削減に貢献するかは疑問が残る。が、石灰岩は国産で賄える資源なので、輸送エネルギーは確実に削減できる。

…等々。このような事を、少しずつアップしようと思っている。が、上記の説明だけでも、だいたいの概要は伝わったかも。そうなると、改めて書くのも億劫だな。