パンデミック後の新世界を作るために (foussin’s blog)

(『見捨てられた世代』からの提言)

緊急要件:自由貿易と格差拡大は密接に関係している

 今回は『自由貿易の問題点』と『資本主義政党に内包する欠点』について書いてみる。

 自民党総裁選のさ中、TPP を巡る大きな変化が起こっていた。岸田政権が動き出す前に『自由貿易のリスク』を国民全体で共有し、後戻り出来ない失敗をさせないように、国民が政府に圧力を掛ける必要性を痛感している。

 英国、中国、台湾と、今年になって続々と TPP 申請があった。なんかヤバイ事になりそうで、とても心配している。米国が離脱した時は『新興国連合』の性格が強まると思っていた。
 それは小国が平和へ近づく安心材料になると思い、期待感を持って見ていたのだが、いつの間にか『キナ臭い力学』に呑み込まれつつある…

自由貿易の問題点:

 欧米諸国の多くは、自由貿易(FTA)自体は肯定的らしい。TPP に否定的な訳は『ISDS条項』が原因らしい。自分の個人的な考えでは、むしろ『ラチェット条項』の方が問題だと感じている。ウィキには次のような記載があった(一部抜粋)。↓

ISDS条項
ISDSによる特別法廷で、政府側が賠償金を支払うことを命じられた場合は、その国の有権者に課される「隠れた税金」となる。それは、政府によってではなく多国籍企業などの企業側によって課される税金である。

ラチェット(Ratchet)条項
2013年11月23日、ラチェット条項の導入に合意した。この条項は、国が自国の産業を守る為、外資を規制する等が、一部の例外を除いて出来なくなる仕組み。原則、法律で再び規制すること等を禁止する。日本経済新聞は、「日本企業が安心して進出できる環境が整いそう」と報じた。

 ISDS条項は、国家よりも多国籍企業に有利に働くから問題だ…というのが TPP 反対派の意見だ。NAFTA という前例が TPP 反対へのモチベーションとなっている。

 だが、『資源配分と比較優位理論(国際分業論)』を唱える口がそれを言うのか? と自分は思う。その程度で反対を唱えるようでは、そもそも自由貿易を語る資格など無いだろう。
 そんなことを言うのなら、最初から各国の産業・自給率を脅かさない公正貿易を主張すべきだったんじゃないだろうか。自国製品を売り込む事しか考えてなかったクセによく言うよ…

 他方、ラチェット条項のせいで日本の株式市場は外資に荒らされるハメになったと自分は考えている。TPP によって、日本は外資依存から抜け出せなくなってしまった。
 つまり、パンデミック時に株高になるグローバル経済に巻き込まれてしまった訳。投資家は『株高ウェルカム』だが、実体経済には恩恵をもたらさないイビツな経済システムだ。

 国民の大勢が病死しているのに株高になる経済…そんなものが健全な経済だと、誰が断言できる? この現象は、富裕層が社会への還元を怠り搾取を続けた証拠だと考えている。

 自分は TPP どころか、自由貿易自体が問題だらけだと思っている。なぜなら、自由貿易に肯定的な経済学が『詭弁』だらけだと気付いたからだ。
 新自由主義に至っては、エビデンス皆無の『資本主義陣営側のゴリ押し』に過ぎないものだった。資本主義に合理(論理的に正しい事)や理念など存在しない。効率的な利潤追求があるだけだ。理念を持たないから、アチコチで問題を起こす訳。アメリカのようにね。

 グローバル経済と自由貿易は、世界中で問題になっている『格差拡大』とも密接に関係している。自由貿易推進派が関税撤廃を目指し、それが各国の間接税を物品税(贅沢税)から消費税(定率課税)へ変質させた。

 消費税は『逆進性』が強いため、低所得者がより大きなダメージを被る結果になった。それが各国の格差拡大要因になっている。
 同時に、自治体が大企業や富裕層を誘致するために法人税率・所得税率を低くする措置を取ったため、それで累進課税が骨抜きにされてしまった。国民がその分を消費税で負担するハメになり、さらに格差を広げる事になった。

 要するに、自由貿易こそ各国の『再分配政策』を骨抜きにし、格差を拡大した元凶である。それに拍車をかけたのがグローバル経済であり、金融工学だった。

資本主義政党の欠点:

 日本は TPP には慎重だったが安倍政権で一転し、格差を拡大する側の共犯者になってしまった。民主主義の視点で見れば「取り返しのつかない事をしてくれた」というのが正直な感想だ。
 資本主義はいつもこうだ。理念を持つ者が「ちゃんと対話をして」と言っても言う事を聞かず、早い者勝ちで利潤追求に走り、結局は取り返しのつかない負の遺産をこしらえてしまう。その繰り返しだ。

 資本主義政党は利害を根拠に政策を決めるが、利害関係は不変ではなく常に変化していく。それが後々に禍根を残す結果になる事に気付くべきだ。だからこそ、民主的な理念に基づいた『ブレない政策決定』が重要となる。

 逆に、資本主義政党が自己正当化のために自身が打ち出した政策に固執するのは却って危険だ。変化する利害関係に政策が合致しなくなっていくからだ。
 利害を重視した結果の『ブレない政策』とは、一部の既得権益による利益の独占・寡占を意味する。通常は党の支持団体(票田)ばかりを優遇する不公平が常態化する。それが政治で行われたら、立法・行政の私物化を意味する訳で、もはや公益に反する行為となる。

 そうならないために、資本主義政党はアチコチの利害関係に対応するために、頻繁に法改正をしなければならない宿命を背負う事になる。
 それは法律や条例の複雑化を招き、規制だらけの社会に変貌させる。皮肉な事に、政治で資本主義を守ろうとする事が、結果として社会主義さながらの規則・管理社会を生み出してしまうのだ。

 『法の秩序』なんてその程度のものだ。それどころか逆に、合法なら倫理に触れても問題としない風潮へ傾き易い。規制強化が『良い社会』を保証する訳ではない。
 法律よりも理念や倫理を重視するのが民主主義の本質だ。理念を重視していれば、法律の複雑化を招く事も無い訳。全ての悪を法律だけで取り締まるのは不可能…そこは妥協して付き合っていくしかない。

 大切な事は規制ではなく、弱者の生存権を保証する寛大さである。それがあれば『早い者勝ちパニック』も起こらないし、治安の悪化も防ぐ事ができる。
 「先にやらないと、やられる」という不安感を払拭し、法を犯さなくても暮らしていけるという安心感があれば、社会は理性的な秩序を保っていける訳。資本主義は不安を煽り過ぎる欠点があり、それが何よりも問題だ。


 話を題目に戻そう。自由貿易には問題があるという話だった。
 ただし、ベトナム等の新興国にとって、TPP は確実にプラスに作用する訳で、それは先進国との格差を縮小する効果があるだろう。なので日本と新興国の民主的な協力関係を築く上では意味があると思う。

 自分はベトナムを民主的な社会主義国だと思っている(だからこそ TPP に加入できた訳で)。ベトナムには出来ているのに、中国にはそれが出来ない。両者の大きな違いは『多民族国家』かどうか…つまり小国か大国かの違いだ。
 民主主義の視点で重視するのは、民意を反映した健全な交易だ。TPP 議長国に求められる資質として、それは重要な問題となる。中国が加盟すれば、いずれは順番で議長国になる…その時に何が起こるかを、今から予測しておく必要があるだろう。

 民主主義の視点で重視するのは、民意を反映した健全な交易。問題だらけの自由貿易ではあるが、自分としてはその一点のみに注視して見守っていきたい。

 当ブログでは、自由貿易の問題点をアチコチで書いているので、たぶん下記に関連リンクが表示されていると思う。興味があればそっちもどうぞ。