パンデミック後の新世界を作るために (foussin’s blog)

(『見捨てられた世代』からの提言)

GDP とは何か(補足情報)

 前回のトピックで、欧米や中国の GDP が V字回復したのはカラクリがあると書いた。今回はそれを説明する。


 まず、GDPとは「国内総生産」Gross Domestic Product のことで、国内で生み出された"付加価値"の総額を言う。GDP統計は3つの原則に基づいて計算される。

1:付加価値を計上
2:市場取引された価値のみを計上
3:1年間に生まれた新たな価値のみ計上

第1原則:付加価値とは「粗利(あらり)」と思っておけばいい。ある店の粗利は売上から原材料費を差し引いた金額になる。

粗利=売上-原材料費

 で、1年間に日本国内で生まれた粗利=付加価値を、全て足し合わせたものを GDP という。

第2原則:市場取引された価値。値段がついた商品は、実際に誰かがその値段で買った事実があったとして GDP に計上。政府の財政支出も金額分の価値があるとして GDP に計上。これは原則の例外だが。

第3原則:その1年間に生まれた新たな価値。土地や骨董品などの売り上げは GDP 統計の対象外。土地は昔からそこに存在するので、新たに発生した価値ではない。所有権が移動しただけ。仲介サ-ビスで発生した手数料だけが GDP に計上される。


 経済学書では、このあと『三面等価の原則』についての説明が成される訳だが、今、重要な所はソコではない。上記の『太字部分』に注目してほしい。今回のパンデミックにおいては『原則の例外』が大きく作用した結果、先進国各国の GDP が大幅に引き上げられた現実がある…という事だ。

 先進国各国が、日本円換算で数百兆円規模の財政出動(政府支出)を行ったのは誰もが知っていると思う。が、それがそのまま GDP に計上されている事実を理解している人は少ないんじゃないの?

 大規模な政府支出をすれば、GDP が V字回復するのは当たり前の話だ。それは日本も同様で、一律10万円の給付金が GDP の改善に貢献している。その点を踏まえた上で世界経済を見る必要がある。隣の芝生が青く見える事に妬んでばかりいては、事の本質を見誤る危険がある。

 だからこそ国民には、今こそ冷静さが求められる。利己主義者のプロパガンダに簡単に流されないでほしい。各国政府の給付金支給が、結局は個人消費の増強に充てられてしまったのは、実は外国投資家と国内の株主、つまり株を持っている人が株価上昇を狙って個人消費を煽ったためだと自分は考えている。

 それは日本も同様だ。各国が経済を止めない政策を強行したのは裏事情がある訳。民主主義の理念を重視し、効率や利害(損得勘定)に流されずに交易していれば、こんな事にはならなかった。

 詳しい事は、次回『自由貿易』や『海外資本依存度』の話を交えてじっくりと説明したい。高騰する輸入品を仕方なく買わされている現実が、くっきりと見えてくる筈…