パンデミック後の新世界を作るために (foussin’s blog)

(『見捨てられた世代』からの提言)

EU&英国 曰く「債務の罠、データの罠」…だが「水道の罠」もあるよね

 現在 EU と英国は、中国に対して『途上国支援』の名目で債務返済に行き詰った国家のインフラを差し押さえる『債務の罠』を仕掛けていると非難している。一方の『データの罠』というのは、中国の IT企業が敷設した ITインフラを利用して途上国のビッグデータを勝手に活用しているという非難だ。

 一見すると、もっともに聞こえる。が、それを言うなら、EU だって『水道の罠』や『再生可能エネルギー産業の罠』を仕掛けている。

 現在の日本では、フランスの『民間水道会社』が進出し、あちこちで割高の水道料金を請求される事態が表面化している。これって『水道の罠』って言えるんじゃないかなあ。
 日本は降水量が多い国で、元々は水が資源として安く使えるのが日本産業の利点になっていた。それを外国の営利企業に任せてしまうというのは自殺行為と言える。

 それをやったのは『グローバル経済・新自由主義』を推進してきた日本政府だった。公営の水道事業を民間委託すれば効率化が進み、料金が安くなると言いくるめられたようだ。
 が、実際は高配当を要求する株主の圧力が強く、逆に料金が値上がりする事態になっている。人間は水が無ければ生きて行けないので、会社側も強気で値下げに応じない。

 これに対抗する一番簡単な方法は『水道コンセッション』をやめてグローバル企業に「出て行けー!」と言って追い出す事だ。好き勝手やられた他の国は皆、激怒してそうやっている。
 それが出来ないなら、国産企業を育てて競争させるしかない。で、一社独占の体制から脱却しなければならない。さらに、対抗する会社は『有限会社』がお薦めだ。グローバル企業に乗っ取り・ダイベスチャー・合併(TOB, LBO, M&A)をさせないためだ。

 できれば非営利事業(公営)にすべきだが、そうすると自由貿易陣営に「保護主義だ!」と訴えられてしまう。自由貿易にはそういう協定が実在し、外国の国営事業・非営利事業化を禁じている。
 が、生存権を左右しかねない水道事業を営利企業に任せる方が、圧倒的に不自然極まりない。水道事業を自由貿易協定の枠組みで束縛する方が『非人道的行為』だと非難すべきだ。

 どちらにせよ、消費者の利益に応えない企業を、これ以上は放置すべきではない。どう考えても自由貿易の方がおかしい…ずっと消費者に不利益を押し付けているんだから。
 しかも、公営事業の民営化が進めば政府は責任を取らないで済む。責任を取らないくせに財政規律を国民に押し付けている。これは政治が腐敗している証拠と言える。


 そもそも、フランスの営利事業は国際的にも評判が悪い。その典型が豪仏で交わした『ディーゼル潜水艦』だ。納期が遅れ続けて、その間に中国の海洋進出を許した…そういう裏事情もあると言われている。

 フランスの水メジャーと呼ばれている『ヴェオリア』というグローバル企業も、世界のあちこちで摩擦を生じている(日本も例外ではない)。要するに、人の弱みに付け込んだ商売ばかりしていて誠実さが感じられないのだ。フランスは、アジアを未だに植民地扱いしている。そうとしか思えない。

 それがグローバル企業ともなれば、配当も純利益(内部留保)も海外に流出し、国内には金を落としてくれず、明らかにデフレ要因になっている。にも関わらず、対象地域は高い水道代を払わされるので、デフレなのに水道代だけスタグフレーションというカオスに陥ってしまう。
 公営事業を外資に好き勝手されたら、国内の産業基盤そのものがガタガタに壊されてしまうだろう。外資にとっての海外進出は『植民地化』以外の何ものでもない。今までの結果が、それを完全に証明している。

 こういう『調子に乗り過ぎた企業』は、どうすればいい? 「あんたが買っている株(会社)はステークホルダーを軽視しているよ。売った方がいいよ」と、アジア各地でキャンペーンを展開すべきではなかろうか。


 さらに、先日の COP26 では、EU が結集した『再生可能エネルギー発電』を各国に売り込んでいた。これは外国の『エネルギー価格』を支配する戦略にしか見えない。以前にも書いたが、エネルギー価格というのは『付加価値の土台』と言えるものだ。
 エネルギー産業の土台を外資に支配された国は、国内価格の全てに『外資エネルギー価格』が上乗せされるため、割高な価格で国際競争を強いられるリスクがある訳。これだって立派な『罠』だろう。

 先日の COP26 では、若者の声を『金儲けに悪用』する思惑が透けて見えていた。世界世論を味方につける事で、多少割高でも EU 圏の発電システムを買わせるように仕向けていた。
 買った国に対しては、その国は真面目に『脱炭素』に取り組んでいるという名誉が与えられるように誘導していた。しかし名誉が与えられた国は、その引き換えに『余計なエネルギー価格=新・付加価値税』を背負って国家運営を迫られる事になるのだ。

 途上国と先進国では、それについて情報格差がある。何も知らない途上国に上手い事言って発電システムを売りつける。やってる事は中国と大差ないと思うんだけどね。
 要するに中国も酷いけど、だからと言って欧米が褒められるかというと、そうでもない。グリーン産業への異常加熱が『グリーンフレーション』を引き起こしてしまった。結局、中国も欧米も同じ穴のムジナじゃねーか、て思う訳。

 そうならないためには、各国が内需重視の産業構造へシフトするしかない。それが世界にとって一番平和な解決策になる。そのための再生可能エネルギーでなければ意味がない。今後は、各国の自給率向上を尊重し、各国がエネルギーの地産地消を目指す社会に変える必要がある。