パンデミック後の新世界を作るために (foussin’s blog)

(『見捨てられた世代』からの提言)

「個人情報保護」は既に骨抜きにされている。ならば…

 もう、正直に生きるしかねーだろ…

 自分は以前、「風山堂(現在工事中)」というブログで、dropbox の「共有」機能が個人情報をダダ洩れにするリスクがあると主張した。が、それは今や dropbox だけの問題ではなくなっている。

リンク:Dropbox について書きたいけど書けない… - 風 山 堂

 多くの SNS が「位置情報などの各種センサー情報を公開する事で、より一層便利なサービスが受けられる」と呼びかけている。それどころか、個人情報を隠していると「何かやましい事でもしてるんじゃないの?」と、変な言いがかりを付けてくる者までいる。

なんだかんだ言っても個人情報は流出し続けている。

 それは、資本主義が個人情報を欲しがるためだ。今や個人が SQL を駆使してビッグデータを利用する時代なのだ。が、もっと怖いのは「社会主義」も個人情報を欲する事だ。そして社会主義は、資本主義を利用して個人情報を収集する。
 個人情報は、常に「利害関係」で色分けされる。多くの人は「勝ち組の多数派」に組み込まれたいと思うだろうが、個人情報を分析されたら、個人の意思などお構いなしで「個々人は機械的・効率的に分別処理」されていく。

 こうなってしまったら、いくら勝ち組に忖度しても無駄である。半ば一方的に「あなたはコッチ側」「あなたはアッチ側」と自動的にグループ分けが行われるようになる。
 勝ち組から弾き出されてしまった人は当然「不満が爆発」する。つまり、資本主義が個人情報を集めたがる事…それ自体が「分断」の要因になり得ると考える事も出来る訳。言われてみれば納得する人もいるだろう?

 こうなってしまった今となっては、自分の思想を語る事について「含み」を持たせて誤魔化すのも無理だ。AI で分析すれば、含みを持たせた文章が「否定的」か「肯定的」かは判別可能だ。
 判別不能の文書があったとしても疑わしきは排除されるだけ。疑われた時点でアウト確定…効率的な分別とは、そういうものだ。これには「疑う者」と「疑われる者」の間に「変な上下関係」が生まれる事も関わってくる。

 どういう訳か、疑う者の方が立場が上になる訳。「無実なら弁解しろ!」と、上から目線で言うでしょ。疑うのは権力者の特権みたいな空気になってしまう。
 よく考えれば、これが理不尽な事は自明なのだが、上の立場にいる者は、この理不尽を絶対に認めない。だからこそ、一般市民が「方法的懐疑」を身に着けるのは非常に重要だ。方法的懐疑は、市民に「理念」を芽生えさせるのだ。

 それでも「事なかれ主義」を貫くとすれば、自分の意見は「何も言えなくなる」「何も書けなくなる」…そういう社会で生きるしか選択肢はない。これは「言論の自由」が奪われた社会であり、つまり民主主義の放棄を意味する。

 そんな訳で、隠し事をするのは諦めて正直に生きる。もうこれしかないんじゃないかと思っている。皆が正直になれば「個人情報の価値も減少する」ので。資本主義では、秘匿性の高い情報ほど価値が高くなるからだ。
 昨年の米大統領選で、有名人が支持政党を公言するようになったのも、そのような心理が働いたためだと自分は考えている。隠し事をして余計な詮索を受けるぐらいなら、正直を貫く方がずっとマシだ。

 ただ、皆が正直になった事で、今まで見えなかった本音が明らかになり、それが原因で分断が起きるケースも増えたように思える。が、これは一時的な混乱だと思っている。
 他者の本音と向き合うのは、人間の多様性に気付く事でもある。他者が自分とは違う人間だと気付けない者は、相手を母親扱いする子供と同じである。

 現在、米国で起きているヘイトクライム等の混乱は、理念を持つ国と思われていた米国が、実は「圧倒的優位」を前提とした「上から目線の寛容」しか持ち合わせていなかった事を自ら暴露している。
 が、再び他者と向き合い始めた米国市民は、もうすぐ大人になると信じたい。そして既に気付いている筈だ。資本主義の矛盾に。


 さて。正直になれば、民主国家の中で生きている日本人が「民主主義を主張する」のは当たり前の話に過ぎない。正直な意見が許される事こそ民主主義の特権と言える。社会主義では「正直な言動」すら許さないので。
 だからもう、開き直って「民主主義万歳!」と叫ぼうではないか。誰だって「自分の個性が否定されずに暮らせる社会」を望んでいる。つまり、世界中の圧倒的多数の人間が民主主義を望んでいるのは「明白な事実」だ。

 日本人は、この事実を忘れるべきではない。自分の正直な気持ちを「正直に発信」していれば、世界はきっと日本について来てくれる。それを邪魔しているのは「ごく一部の権力者」に過ぎない。