パンデミック後の新世界を作るために (foussin’s blog)

(『見捨てられた世代』からの提言)

27.経済学者ピケティが発表した「r>g」について・・・

 r=資本収益率(純資産の成長率)
 g=GDP(国民所得)の成長率

 資本収益率「r」とは、土地・建物・機械設備などの「実物資本」と、株式・債権などの「金融資本」の収益率を言う。土地以外の実物資本は原価償却されるが、金融資本は累積投資できることから、これは「純資産の成長率」と言い換えた方が分かり易い。
 国民所得「g」とは、資本が生み出す収益と労働所得の合計。要するにGDP。資本が生む収益とは、主に株式配当(インカムゲイン)や株価上昇時の売買差益(キャピタルゲイン)を指し、これらは投資会社の売り上げとなる。

 「g」はGDPなので、必ず市場取引されていることを表す。が、ピケティが提唱する「r>g」が成立する場合、純資産の一部が市場取引されず、どこかに密かに貯えられていることを示唆している。
 その根拠の一例として、国際的な経常収支に矛盾があることを指摘している。一国の経常収支の黒字は、他国の赤字であり、その総和はプラマイ・ゼロに収束するはず。ところが、富裕国・貧困国の総和は「わずかにマイナス」になっていると指摘。

 つまり、世界の富の少なくとも数%がタックス・ヘイブンに隠匿されていると、ピケティは指摘している。
 「r=g」ならば、どちらの成長率も同じため、GDPに占める労働所得の分配率も一定となる。だが、ピケティは長期的なデ-タから「r>g」を突き止めた。それが格差を拡大させ、不平等を助長すると警鐘を鳴らした。