パンデミック後の新世界を作るために (foussin’s blog)

(『見捨てられた世代』からの提言)

ポーリー・ポエットのように…

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 『ロミオとジュリエット』や『ローマの休日』のような悲恋ではなく、『ポーリー・ポエットそばかすななつ(田淵由美子・著)』みたいにハッピーエンドで終わる物語。…当時の少女漫画家や読者達は、従来の古典をささやかながらもハッピーエンドに変えたいと願い、実際にそういうストーリーを編み始めた。

それはたぶん、皇室だって同じ。
眞子さま、どうぞお幸せに。

総括:株高が好景気に直結しなかった理由(大域的アベノミクス総括と今後の戦略)


2021/10/22 20:37 fri:pv 546【記事総数:87(当記事含む)】

 当ブログでは、権力者の詭弁に対抗する知恵を提供する事を最重要視している。当文章が経済弱者に自己防衛の武器を与える一助になると信じ、これを書いている。長文なので読むのが大変かもしれないが、選挙前の今、重要な事をたくさん書いているので、ぜひとも目を通してほしい。


 題名に書いた『株高が好景気に直結しなかった理由』について、結論から言ってしまおう。それは、アベノミクスは日本経済の『循環』を破壊した…それが不景気の元凶であり、株高でのトリクルダウンを無効化した。今回はそれについて順を追って説明する。

 本当は、選挙に備えて「どの政党に入れれば良いのか分からない」という若年層のために、日本の政党を簡単に説明しておきたいと思っていたのだが、その前に今回は『アベノミクス』のどこが駄目だったのか、大域的な総括をする。
 これをやらずに選挙戦へ突入とは、国民に考える時間を与えない姑息・恣意的な作戦だと思う。選挙までに時間が無さすぎる。


 アベノミクスを評価するには、グローバル経済・世界情勢を客観的に見られるマクロの視野と、大域的な捉え方が必要となる。内政だけに責任転嫁しても何も解決しない。皆、それに気付いているからこそ、ビビッてしまっている訳。

 でもね、本当の事を言えない空気こそ同調圧力と呼ぶに相応しい。正しい事は「正しい」、間違っている事は「間違っている」と言い切れる社会…それこそが民主主義社会の正しい姿だ。

 今回の日本の選挙で、再び資本主義政党が与党になれば、世界中の民主主義者が失望するだろう。資本主義は、民主的な理念よりも利害を優先するからだ。
 ミャンマー市民、香港市民、台湾市民、アフガン市民達が見つめている事を、日本人は忘れるべきではない。困っている彼らを助けたいと本気で思うなら、まずは日本の民主主義の火を消さない事が何よりも重要となる。

株高は好景気に直結しなかった…

 今回のコロナ禍では『株高不況』という、トリクルダウンとは完全に矛盾する経済状況が出現した。大勢の市民が病死する中で、莫大な利益を得た大企業や投資家がいた事に『モラル崩壊』を感じた人も多いと思う。特に海外投資家が大儲けしたようだ。

 しかしこの現象は、実はコロナ禍の前から進行していた。金融経済は好調だけど、それが実体経済には全く影響してこなかった…
 簡単に言っちゃうと、金融緩和によって海外資本を呼び込み株高を達成したとしても、それを経済成長へ繋げる事が出来るのは『伸びしろが大きい途上国や新興国』もしくは『人口が非常に少ない小国』に限られるのだ。

 途上国や新興国の多くは『人口増加』の過程にあり『平均年齢が若い』…それが経済発展に寄与する訳。このような状態を『人口ボーナス期』と呼ぶ。要するに人口ボーナス期にある国こそ、世界経済の中心地となる。

 実は日本も、高度経済成長期時代が人口ボーナス期となっていて、それで経済成長を実現した。国家にとって人口ボーナス期は一度しか起こらず、そのピークを越えると『人口オーナス期』と呼び、停滞(成熟)を余儀なくされる。つまり、現在の日本は人口オーナス期である。

 実は、米国も中国も欧州も、先進国の大半は既に人口オーナス期に入っている。ところが、日本以外の国はそこそこの成長率を維持している。その理由として大きいのが『製品の国際規格』であり『自由貿易』である。
 国際規格や自由貿易の実現には、各国の国家主権よりも上位の法律が必要になる。それが『国際協定』であり、その協定を自国優位になるように策定してきた事で、米中欧は経済成長を続けている。つまり国家主権を骨抜きにする不平等条約が、まかり通っている。

 一方、海外資本を呼び込んで成功している小国の代表が『ドバイ』だ。資源の無いドバイが成功できたのは『人口が非常に少ない』ためである。人口が少なければ分配も手厚く出来る。
 それが成功の秘訣であり、よく考えれば単純な話。それで『国民一人当たりGDP』を異常に高めている。
 だがそれは、生まれ落ちた人間のごく一部だけが繁栄する『不平等の極致』を体現した政策と言っても過言ではない。自分はこれを、民主主義だとは絶対に認めない。

 市民のみんなによる合議制で社会の在り方を決めるのが民主主義である。それを「それは社会主義だ!」と言って煽り、否定する資本主義者こそ詭弁である。

 金融緩和によって海外資本を呼び込み株高を達成する手法は『トリクルダウン』そのものだ。アベノミクスでは、そのトリクルダウンが機能しなかった。富める者に対しては莫大な利益をもたらしたが、大多数の国民には所得減少をもたらした。
 トリクルダウンを停滞期の日本で実現するには、1億2千万という人口は多すぎた。そして高齢者人口も多すぎた。成熟した経済大国内での資本取引では、利潤が次の投資を呼ぶ循環が起こらず、むしろ死蔵・流出へ向かい易い。

 で、アベノミクスの金融緩和政策では、企業の内部留保や株主配当の大部分が死蔵、あるいは海外へ流出する結果に至っている。それこそが『株高』なのに実体経済に恩恵をもたらさない元凶であり、財政赤字が縮小できない元凶である。本来、高学歴の学者や政治家が、これに気付かない筈がない。

 10/20(水)、NHK のニュース配信で『"年収" なぜ上がらない? 専門家に聞きました (20日15:58)』という記事が出ていた。それに対して経済の専門家(経済学部教授やマクロ経済アナリスト)は、日本では給料を上げない代わりに解雇しない…これが日本経済の成長を阻害した…という分析が紹介された。
 が、これは正社員だけの話なので嘘だ。簡単に解雇される非正規労働者の存在を無視している。しかも、株高なのにトリクルダウンが機能しなかった理由になっていない。専門家の分析は『古いデータ』を使った誤魔化しである。
 しかもだ。この専門家、しれっと嘘を付いている。日本の生産力はずっと右肩上がりを維持していた。つまり経済は、本来なら成長していた筈なのだ。それが企業の内部留保や配当金の右肩上がりとして表れている。だろ? そうでなければ、ギリシャやイタリアのように、とっくに財政危機に直面していた筈だ。

結局、政治・経済は科学的根拠よりも利害関係で動く。

 それが世界中の市民を苦しめてきた元凶である。自民党共和党も利害を重視する『資本主義政党』だった。だからこそ、コロナ禍での混乱に余計に拍車をかけた。この歪みを補正するには、絶対に『本物の民主主義』が必要だ。

 日本政府としては、国内で通貨が循環してくれないと税収を得る手段が他にないので、そのトバッチリとして貧しくなる一方の国民が消費税増税によって搾取されてきた訳。社会保障費の増大など、資本所得の『巨額の死蔵・流出』と比べたら微々たるものに過ぎない。


 総裁選の前は『交易公益資本主義』を提唱していた岸田だが、いざ組閣したら『新しい資本主義』などと言い始めた。これは怪しい。権力を手にした途端に手のひら返し…資本主義政党はいつもそうだ。一体、誰に忖度しているのか。やはり自分は、自民党は信用できないと思っている。

 10/19(tue)、衆院選公示となった。各党が『成長』とか『分配』とか、大衆を煽るスローガンを叫び始めた。だが、みんな最重要ワードを見逃している。

 今の日本経済にとっての最重要課題は、成長よりも『循環』であるアベノミクスは循環を破壊した。それが国民の多くを低所得者にした。そして、政府に巨額の税収が入らないようにしてしまった。
 そこで循環を回復させるのが『富裕税としての累進課税』である。実際にはそれだけでは不十分で、死蔵から富を取り返す『資本課税』も必要だ。

 が、そこまでやっても財政赤字の縮小は実現しないだろう。既にその数割が海外に流出していると思われるからだ。そこにグローバル経済の闇がある。そのため、今後の政府運営は債務縮小ではなく『債務対GDP比』に着目した財政運営をすれば良い。
 富裕税は『循環の正常化』のために導入する事を認識すべきだ。本気で債務縮小をするには貿易黒字を続ける必要があるが、それは外国が黙っていないだろう。日本の財政赤字は『世界(?)を救った証』と受け止めるしかないのだ。

 で、日本をそういう方向へ向かわせたのがグローバル経済である。『循環』の重要性に言及しなければ、アベノミクスを総括したとは言えない筈だが、やはりまだ、みんなビビっていて本当の事が言えないらしい。つまり…

『循環』無くして分配はなく、成長も無い。
『循環』が再分配を生み出し、それが成長に繋がる。


 ところで、こんな事を言っていると、世界ばかりが間違っているみたいになってしまうが、実は日本にも問題がある。ずっと米国という大国の傘に守られて発展してきたのは事実だからだ。
 今後は少しずつ米国や中国の影響から抜け出し、自立する必要がある。自立のための憲法改正なら賛成だが、米国に隷属する改正なら反対だ。憲法改正の議論では、それを見極める必要がある。

既に日本は自立できる HP を獲得している

 自立のためには自由貿易を見直し、国内では消費税を減税、逆に累進課税と資本取引税は増税し、意図的に外資が逃げ出すように仕向ける。事実上の金融引き締めだ。
 最初は株・円・国債のトリプル安で苦しむと思うが、実体経済はすぐに回復すると思っている。その根拠は、自分が体験した『リーマンショック』だ。

 当時の自分はドラッグストア対象の物流センターで非正規労働者として働いていたが、実体経済金融危機の影響をさほど受けていなかった。残業は確かに減ったけど。危機を騒いでいたのは、ほとんどが持ち株会社(ホールディングス)だったと記憶している。
 自分は、マスコミが騒ぎ立てたリーマンショックと現実の実体経済には、何となく乖離した違和感をずっと感じていた。が、当時の空気に流されて「そうなのかなあ…」と思いながら言い出せなかった。当時の自分は未熟で若すぎた。

 要するに、株式投資依存型ではなく、実体経済重視型の税制に改める事で、循環経済を正常化する。循環経済が軌道に乗れば、政府の税収も乗数効果で自然に増える。

 自分は以前、累進課税は『ブートストラップ・ルーチン』の役割を担うと書いた事がある。累進課税にはセーフティネットの役割があり、低所得者や中小企業の成長を促す効果があるのだ。
 金持ちから税をむしり取るだけの仕組みではない。それを理解してほしい。『取れる所から取る政策』という批判は、資本主義者の勝手な言い分だ。むしろ消費税の方がよっぽど『逃げ場を奪ってむしり取る悪税』だろう。

 資本所得で GDP を押し上げても、税収が伸びなければ『債務対GDP比』の縮小には貢献しない。それはインフレ税に頼った計算上の相対的債務縮小に過ぎず、経済成長とは無縁の政策だ。要するに『他力本願』で無責任な政策だ。

 内需重視への転換は、海外からは保護主義と文句を言われそうだが、輸出で相手国の自給率を脅かさなければ非難される筋合いはない。そもそも、欧米の保護主義とは『利己主義』に由来するものだ。
 そして、海外に対しても『持続可能社会の実現には内需産業が重要』と呼びかける必要がある。遠い国から輸入するより、地産地消で賄った方がエネルギー抑制に貢献するからだ。
 国際分業論で輸入に依存し過ぎると、将来的には『多額の炭素税』を支払う事になる。結局、自由貿易は地球に優しくない。

 さらに、日本が自立するには米軍基地も縮小させ、自力の国防へ舵を切る必要がある(米国製兵器をたくさん買わされると思うが)。ただし、爆撃機のような侵略兵器だけは持たない理性は必要だ。F35 はグレーな気もするが…

 その時こそ、初めて日本は「戦争は悪である。核兵器も悪である」とか「ミャンマー軍を非難する」とか公言する事が許される。現状では、日本が何を言っても「米国の属国のくせに…」と言われるだけだ。そうやって日本は『戦争・内戦を起こさない知恵』を出していく必要がある。

 欧米人は、そういう自立観にこだわり、彼らが考える一定のレベルに達していない相手の言うことなど聞こうともしない。それが多様性を損ねている現実に気付かないのは欠点でもある。が、世界を動かしているのは彼らのルールなので仕方がない…


 新政府には、一番最初に『内需循環型経済』へ移行するというコミットメントを出してもらいたい。それによって国内企業に下準備を急がせるためだ。できれば企業には、コミットメントに関わらずに準備を始めてほしいと思っている。それが日本人の良心だと自分は考える。

 強欲な資本主義とは距離を取り、内需循環型経済へ移行する…これは保護主義の引き籠りを意味するのではない。内需重視は『持続可能社会』を作る上で必要だし、何よりも日本が『本物の独立国』になるための試練と考えるべきだ。

 だが心配無用だ。日本は戦後75年もの間、ずっと初級ステージで HP を上げ続け、いつの間にか自立できる『Level 255』に到達しているからだ。
 江戸時代のリサイクル社会に学べば、都市鉱山に膨大な資源が眠っている事に気付ける筈だ。日本に資源が無いというのは『大量生産・大量消費の価値観』に過ぎない。
 さらに、台風・地震・火山の多い国…これらは脅威でもあるが、裏返せば資源でもある。地球の巨大エネルギーが噴き出している現場でもあるからだ。しかも海に囲まれた島国だ。これは『膨大な水資源』を持った国を意味する。

 そんな日本だからこそ、海外投資家にカモにされてきた…とも言える。搾取されても破綻しなかったんだから、立派な国になっている。大丈夫。もっと自信を持とう。今こそ発想の大転換が必要だ。今回の選挙で、それを活かして行こうぜ!

新自由主義(小さな政府)の欠点:

 なるべく政府は民間市場に介入せず、好き勝手にやらせる…それが『小さな政府』だった。が、蓋を開けてみれば誰もが『儲かる業種』に群がり、社会維持に必要な基幹産業が疎かにされてきた。

 これが格差への不満としてある。低所得者として甘んじている労働者だって、社会貢献している立派な社会の一員なのに、いつまで経っても所得が上がらない。その理由としてあるのが、国際競争を勝ち抜くには『国内に安い労働力』が必要…結局、この一点に尽きる。

 要は、国際競争激化が人件費抑制の理由になっている。先進国での格差拡大には、各国が国内で『奴隷的労働者』を増やそうとする誘因が強まっていて『生かさず殺さず飼い殺しに出来る労働力』が必要だと、投資側・経営側は考えている。

 内部留保や配当が増えていないのなら、その言い分にも納得できるが、実際にはそうなっていない。つまり、その分を人件費に充てても自由競争に支障は無い訳。
 むしろ労働分配率を高めて消費促進に繋げた方が経済循環は活発になる。という訳で、富裕層の言い分は矛盾だらけで、自身の取り分が減る事だけを心配している利己主義に過ぎない。

 国民の大半を『安い労働力』にしてしまう国際競争は市民の幸福を損なう。幸せになりたいから儲けたい。が、それが社会で共生する大勢の市民を不幸にするようでは、これは明らかに民主主義に反する。
 この悪循環を断ち切りたいなら、今すぐ強欲な資本主義とは距離を取り、自由貿易・金融緩和を改め、内需産業で循環経済を復活させるのが最善だ。これを日本が率先すると同時に、世界にも呼びかける必要がある。

 現在の需要過多、供給不足に起因する世界的物価高は、フライング・スタートで他国を出し抜きつつも、儲からない産業は敬遠してきた『新自由主義的な利己主義』が招いた当然の帰結だ。
 もしも世界が『中ぐらいの政府』を重視し、各国政府が供給不足の産業に適正に予算配分していれば、労働者だって納得できる賃金で誇りを持って働けた筈。

 そして、財政規律で国民を縛り続けたアベノミクスこそ、日本人労働者を『奴隷化』させた元凶である。しかも、世界中で似たような事が起こっている。

 今度の選挙では、これを変えるために国民は政治に圧力をかけ、世界経済を支配している大国や富裕層にも意思表示をする必要がある。そのためには、今の政権のままでは駄目だと自分は考えている。


 本来なら、選挙前に公平な視点に立って、日本の政党について簡単に説明したいと思っていた。が、次々と繰り出してくる資本主義の詭弁に反論するために、エネルギーを使い過ぎてしまった。『日本の政党』についての説明は、選挙が終わった後で、気が向いたら書く事にする。さすがに疲れた……

ワニの口:財務省事務次官が 10/8 発売の『文藝春秋(11月号)』で意見表明?

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 詭弁で押し切ろうとする資本主義陣営は、全くもって油断も隙も無い。そのため、彼らの行動を監視するために欲しくもない『文藝春秋』を買わされるハメになった。
 結局、これも資本主義の作戦であり、オープンであるべき民主主義の情報に値段を付けて売りつけようとする。政府関係者ならば文春で言う前に、パブリックな場で表明すべきだろう。これこそモラルの欠如に他ならない。

 正直、自分は文春ってやつが好きではない。「俺が俺が…」と自己主張の強い連中ばかり登場してウンザリする。が、多様性を尊重するのが民主主義。ならば虫唾が走るほど嫌いな人間の意見でも、一応目を通しておくか…そう思って渋々読んでみた。


 10/12(火)、経済同友会・櫻田代表幹事は「書かれていることには 100%賛成だ」と述べたという。で、自分は事務次官に反論する。読んだ感想、その印象は財務省の自己正当化であり、世論誘導の意図を感じた。

 順番は前後するが、まずは MMT への牽制が書いてあったと思う。それとインフレターゲットを組み合わせた財政健全化が機能しなかった理由として、財政赤字増大で無意味になったと書いてあったと思う(分母と分子の話)。

 ハッキリ言って、それは国民感情を置き去りにした『資本主義者同士』の馴れ合いの議論に過ぎない。民主主義の視点からの言及がない。民主国家として最優先の民主主義への配慮が欠落した言い訳だと思った。

 まあいい。先に進もう。…だから財源確保が重要だと。官僚側の言い分は理解できる。が、財源確保を達成するための意見普請が『○○税』頼みなのが気に入らない。それは、政治家をそっちの方向へ誘導してしまうからだ。
 たぶん、東日本大震災の復興税と同様の税を直接税に上乗せする考えだと思う。直接税は累進課税なので、一律数パーセントでも低所得者高所得者では支払額が異なる。これは納得できる話だ。
 問題は『資本所得』にも課税できるかという話。それが出来なければ公平性に欠ける。なぜなら、資本所得者の多くは不労所得者だからだ。

 まず気になったのが『給付金を配っても死蔵させるだけ』という一節。貯蓄が増えるのは将来への不安の表れだ。だから、その不安を解消できる財源確保の方法が求められる訳。
 死蔵…これは一律に配ればそうなるが、困窮者にとっては文字通りの命綱になる。で、低所得者や失業者、復職を諦めてしまった人々が大勢いて、彼らを『不備ループ』等で長期間放置した事については全く触れていない。その無神経さに怒りを禁じ得ない。

 困窮者に申請させて受理したら支給するという『時間のかかるやり方』が最大の問題点だった。国税庁と連携し『高所得者以外』という給付条件にしていれば、不正受給を心配する必要もなく、スパコンを使って自動的に対象者をフィルタリングできた筈だ。先進国の多くは、そういうやり方だった。

 それに自分は『貯蓄の死蔵』は外資依存からの脱却や内需産業強化、自給率向上のために必ず役立つと考えている。岸田内閣は新自由主義から脱却すると断言したのだ。従来とは別の方法で税収を得るものと考えるべきだろう。

 しかも、財源を明確化していないのは現在の政府である。それに不満があるなら、今度の総選挙では下野させてやる…ぐらいの気概を見せてほしい。それとも安倍・麻生・甘利指揮下での『超小さい政府』を支持して、それで国民の理解が得られるとでも? 民主国家は『中ぐらいの政府』を目指すべきだ。

 『消費税減税は問題だらけ』という意見だが、自分の率直な意見は「木を見て森を見ず」だと感じた。3ポイント程度の減税では逆進性が勝って効果なしって話は短期的な視点に過ぎない。
 その逆進性で長期にわたって低所得者を苦しめてきたのを棚に上げるとはね。収入の大半を生活費の消費に充てる低所得者にとって、8%→5% の減税は大きいよ。自分の実感では、3%→5% に増税になった時、ジワジワと増税感を実感した記憶がある。2~3ポイントの変化は、エリート官僚には分からないんだろうな。

 まず、今後の政治・経済が『新自由主義に戻る事は難しい』と考えるべきだ。国民世論が No!! を突き付けたからだ。そうなれば財源を消費税に頼る考えは『思考停止』に他ならない。消費税(付加価値税)は新自由主義が生み出したも同然の税制だからだ。

 ただ、期間限定の減税では確かに効果は弱いと思う。なので立民の減税政策はどうかな、と自分も思う(結局、米国の圧力には勝てない訳だ)…コトが経済に限れば、民主主義政党の経済政策は頼りない。資本主義者の官僚に言いくるめられてしまいそうだ。


 特に問題なのは『寄稿については麻生前財務大臣の了解を得ている』という報道だ。結局、言わされてるだけでは? 財政規律の正当化は、財務省の権力維持の言い訳に過ぎない。破綻危機にあるのは日本だけに限った話ではないのだ。

 『インフレ経済政策』『金融緩和政策』『自由貿易』『消費税(付加価値税)』が世界中の市民を苦しめている事を理解した上で財政健全化を考えなければ無意味である。経済は国家のためにあるのではなく、国民の暮らしのためにある事を思い出してほしい。日本は社会主義国ではないのだ。

 財源なら、株式市場を見てみなよ。実体経済に貢献しないムダ金が溢れているだろ? まず、日銀による ETF 買い(80兆円?)をやめて国債償還に回すべきだ。そして『累進課税・金融資本課税』の増税で財源を確保すべきだ。
 重要な事は、世界に『連帯』を呼び掛けながら上記を実行する事だ。要するに富裕層の逃げ道を塞ぐ必要がある訳。

 出来高×平均株価で 1日辺りの取引額がだいたい分かる。株高は買い越し優勢、株安は売り越し優勢を意味する。最近の出来高は 6億~15億株ぐらいで推移している。出来高の多い日は海外資本の売買が活発だった事を示している。
 現在の資本課税は 20% なので、それを考えれば毎日どのぐらいの税収があるかは、だいたいの概算で想像できる。で、取引額は保有株の数パーセントに過ぎない。その微量の取引によって保有株全体の資産価値が増減する。こんなものは富裕層によるマネーゲームに過ぎない。

 資本課税の増税によって外資が逃げ出すなら、それは日本の産業力に魅力がない証拠と思って潔く諦めるべきだ。日本は平均株価 2万円台からやり直す必要がある。が、それは逆に外資依存から抜け出す良い口実にもなる。
 現在ではクラウドファンディングによる資金調達も可能。株式市場にこだわる必要はない。東芝のように外資に荒らされた挙句、分割して売り飛ばされるのがオチだ。これって、ほとんど LBO だろ。

 で、産業力を高めるなら『小さな会社を増やして』内需産業を強化すべきだ。零細企業を淘汰させる戦略は、新自由主義が作り上げた『富める者にとってのご都合主義』に過ぎない。プロパガンダに過ぎない。
 大企業優遇政策では、効率化が人件費抑制に向かうため、新たな雇用が生まれず、それは今後の起業精神にも悪影響を及ぼす。これが株式投資依存型経済の欠点だ。内需循環型経済への移行は、持続可能社会を作るためにも絶対に必要だ。

 消費税増税でしか財源確保が思いつかない政治や官僚の方が問題だ。増税のやり過ぎが『ビールの出荷数減少』に繋がったのを忘れたのか。出荷数が減少すれば税収だって減る…当たり前の話だ。
 増税のやり過ぎが酒屋の経営を圧迫し、量販店以外の酒屋は儲けを出せなくなり、巷から酒屋という文化が消滅した。その結果、小売店が引き受けていた雇用をも奪った。これは増税が産業を弱体化させた悪例と言える。

 さらに、消費税が導入された以降の世代から、ずっと所得が上がっていない。嘘だと思うなら統計を見直すべきだ。これは彼らが生産した付加価値を、自己投資をする前に消費税が削ってしまうからである。

 つまり、消費税が経済成長の足を引っ張っていた訳。だから消費税は、一時的ではなく恒久的減税をすべきだ。例えば 2% に固定する。
 その代わりに累進課税と金融資本課税を増税する訳。できれば酒税・たばこ税も減税してほしい…重税感がヒド過ぎるので。一番重視すべきは『一般市民の値ごろ感』にマッチした税率にする事だ。

 で、自由貿易も見直して物品税(贅沢税・環境税)を復活させるべきだ。自由貿易の関税撤廃は、明らかに格差拡大要因になっているからだ。自由貿易ではなく、自国と相手国の自給率を脅かさない公正貿易を目指すべきだ。

 もう既に国民の負担は限界に達している。だからこそ給付金が必要なのだ。なのに矢野も麻生も、それを全く理解していない。蓄財が増えるのは、外資依存から抜け出し内需産業強化のための準備期間と捉えるべきだ。

 さて、ここからが本題だ。

国内のワニの口を塞げば、某国のワニの口が開くだろう

 膨らみ続ける赤字国債ヘッジファンドや諸外国の餌になる事は理解している。が、そのリスクを一般国民に押し付けるのは筋が通らない。企業の内部留保や株主の配当金はずっと右肩上がりだったのだから、財政赤字分が何処に消えたかなんて、子供にだって理解できる問題である。

 つまり、巨額の内部留保や配当金が実体経済で循環していない。それが財政赤字分を回収できない最大の原因だ。要するに、給付金の死蔵など問題外の『超巨額の死蔵』がそこにある。

 社会保障費の増大が財政赤字増大の要因とか政府は言ってるが、そんなのは詭弁だ。高齢者年金は生活費としてほぼ使い切ってしまうので、その消費は実体経済圏で再分配される。で、再分配は何度も繰り返され、政府の税収も自然に増える(乗数効果)。
 そうやってマネーストックや物価は一定を保つ仕組みになっている。経済循環が正常であれば、赤字国債分の金額も大半は回収できるため、本来なら年金用に莫大な予算を計上する必要はないのだ。

 つまり、年金受給者が無職のため所得税を納めていないとしても、その消費が発端となり、別の人の所得として再利用される。これは政府が景気刺激策で公共事業をやるのと同様の波及効果を持つ。
 この波及効果は、主にサービス・福祉・エッセンシャルワーカー等の『日常生活を支える産業』にもたらされるので、自民党支持団体は全く話題に取り上げない…だからこそ『財政赤字の原因説』に仕立て上げられたと自分は想像している。

 で、毎年巨額の赤字国債で年金補填分の貨幣が市場投下されるなら、日本は自然にインフレになっていい筈なのに、実際はデフレ気味が続いている。つまり、市場に流通している貨幣量が想像以上に減少している訳。貨幣はどこに消えたのか…それこそが先ほどの『超巨額の死蔵』である。

 株式投資はしていても、配当や内部留保は資金としては動かず、つまり実体経済では循環しないマネーである。これは富裕層の預金通帳の中だけで自然にカネが増えている状態を意味する。実に迷惑な錬金術だ。

 財務省は国民の死蔵には文句を言うが、富裕層の内部留保や配当金の死蔵は容認かよ。これはムカつくわ。これを問題視したのが経済学者ピケティであり、彼は『年次累進資本課税』を提唱している。
 富裕層が貯め込んだ資本は効率的なリスク分散で投資されるため、巨額投資をすればするほど増える一方となる。それは実体経済圏の循環貨幣量を著しく減少させ、世界中の労働者を低所得者にしてしまうのだ。

 日本は、その減少分を補完するために、世界を代表して赤字国債を連発している訳。つまり財政赤字を労働者や社会保障費のせいにするのは誤った考えであり、富裕層による身勝手なプロパガンダである。

 国家がいくら赤字国債を連発して通貨を発行しても、その大半が富裕層や大企業に吸い上げられてしまっている訳。MMT はオメデタイ理論だが、日本が破綻すれば米国も連鎖破綻を起こす構図だ。日本株式会社こそ『トゥ・ビッグ・トゥ・フェイル』の渦中にいる存在なのだ。

 これはバブル崩壊後に、企業がこぞって『自己資本率の増強』に走り始めた頃が発端になっていて、財政赤字が膨張し始めた頃と一致している。嘘だと思うならデータを調べてみなよ。最初は債務整理で目立たなかったが、それが隠れ蓑になっていた訳。

 社会で循環する貨幣はごく一部で、大半が特定の富裕層に集積されるようでは、これはもはや経済学の失敗であり、資本主義の失敗である。そして、それを主導した資本主義大国アメリカと自民党の大失敗である。ただし、アメリカは『他国を食い物にする経済システム』として大成功だと思っていそうだ。

 まずはそこを認めてもらわないと、新自由主義からの脱却なんて言っても、誰も信じないよね。つまり、資本主義陣営の投資家が債権放棄で解決すべき問題である。世界中の市民の多くも、そう考える筈だ。財政規律で国民を縛るなんて、資本主義者の詭弁なんだよ。

 自分は、当ブログで『全世界同時デフォルト』が必要だと何度も書いてきた。その理由がここにある。単純なデフォルトでは世界が混乱するので、先進国を強制物価安にしてバランスを取るのだ。
 バラまき政策でインフレ誘導するのではなく、ある日突然物価安にする事でデフレを回避し、先進国と途上国の格差を是正する必要があると申し上げているのだ。そろそろ当ブログの本意に、誰か気付いてくれないのかな。70億人もいるのに…

 それでだ。今後の日本が累進課税・金融資本課税を増税したら、たぶん国内で減った財政赤字分が、それがそのまま某国の財政赤字の増加として表れるのではないかと自分は想像している。何故かは、各自で考えてみて。

 日本人だってバカではない。大国が武力や経済力で周辺国を抑えつけてきた事など先刻承知だ。だが、さらなる強欲のために『その国の民主主義』まで蹂躙しようとしている。これはやり過ぎだ。調子に乗るのもいい加減にしてくれ。


 ついでに言えば、TPP の加入には二階や甘利も関わっている(ウィキにもちゃんと書いてあった)。米国は TPP を離脱したが『米国に有利な条項』は今も生きている。
 二国間貿易協定については、米韓FTA を見れば分かるが、明らかに『不平等条約』になっている。日米FTA については、米国はさらに厳しい条件を日本に突きつけてくるという噂が出ている。
 日本国民が公正貿易を世界に唱えてゆくためには、韓国と協調して米中二国に『不平等自由貿易』の改善を訴えていく必要がある。日韓の不和を喜んでいるのは、実は米中二国である事を認識すべきだ。

 国民の負担が限界に達しているのは、大国側の不条理な要求も大きい。一方、税収さえ確保できれば、その方法は問わないという財務省の姿勢も問題だ。「俺は悪くない。悪いのは国民であり、政治だ」という論調だ。そんな体質が部下を自殺に追い込んだんじゃないの?

 財政規律は国家を頭から押さえつけられる格好の権力装置になり得る。そこにアグラをかいていないか、常にセルフチェックをしてもらわないと、国民だって困るんだよ。

 消費税でしか財源を確保できない政治は怠慢である。それを批判した上で財政規律について語ってもらいたい。つまり、文句を言うべき相手と順番が間違っているのだ。国民よりも、政治を先に批判してくれないと政治家は国民に責任を擦り付けてしまう。今までずっとその繰り返しだった。

 カネの出し渋りをして権力を維持しているだけの財務省に、偉そうな事を言う資格など無いと思っている。今回の文春への寄稿は、どうせ岸田内閣への牽制と国民世論の誘導が目的だろ? マスコミに煽らせて「空気を作ってしまえば勝ち」って思ってるんじゃないの? 政府機関直属のポピュリズムだな。

 で、やっぱり自民党財務省を切り離すべきだと、改めて自分はそう思った。第一、『新しい資本主義』って何なの? 具体案を出さないまま選挙に突入する気? 自分は既に、資本主義も経済学も詭弁だらけ…という結論に達しているのだが。


 次回は、選挙も近いので日本の政党について簡単(?)に説明したい。自分的には、今一番警戒している政党は『ファーストの会』と『日本維新の会』だ。表向きは東京と大阪の代表に見えるが、カラーは自民党に近い(都政を見てれば分かるでしょ)。
 彼らの行動原理が『自民党との連立』にあるのは自明だと思うが、それを明言していない所が嘘臭く見える訳。二階みたいに様子見って事らしい。

 今回の選挙の焦点は、コロナ禍で苦しむ市民達を放置し続けた『小さな政府』に対する嫌悪感が、どう影響するのか…それを見極めようとしていると思う。国民の嫌悪感が強ければ、自民を支持するのは損になるからだ。ズルいね。

 要するに、この二党は野党の中で民主主義政党・社会主義政党を揺さぶる役割を受け持っている。それは自民党、及び米中二国へウインクして見せていると自分は想像した。

 土壇場で登場したファーストの会だけど、ファーストっていつも土壇場戦略を使ってるよね。常套手段としてヤミツキになってない? あと、自民党との裏取引の匂いがするんだけど(例の重鎮の気配を感じるのは気のせい?)。
 維新の会とファーストの会は野党な訳だけど、自民党と同じ資本主義政党である事は明らかだ。都議会選では自民票を削ってくれたが、自分にとってはどっちも『民主主義を窮地に追い込む嫌な奴』だと思っている。

 要するに自分は、今回のコロナ騒動で『自民党への嫌悪感』が膨張し、堪忍袋の緒が切れた。何が何でも下野してもらいたいと思っている。今までの自分は、自身が支持する政党を明言した事は一度もなかった。
 が、今回…いや、来年の参院選まで『自民非支持・資本主義政党非支持』の一点ばりで行く。まあ、言わなかっただけで、今までもずっと自民非支持だったんだけど…今回は、明言する事で無党派層を揺さぶる作戦だ。

 今回は当然、野党連合(市民連合)に一票を投じる。これは同時に、ずっと不平等条約を押し付けてきた米国への、一国民としての意思表示でもある。
 日本国民は、少なからず自給率向上と内需循環型経済へ回帰したがっている。で、強欲な資本主義経済とは距離を取ろうと考え始めた。資本主義政党に No!! を突きつける事で…それを伝えたい。
 いくらなんでもヤリ過ぎでしょ。もうちょっと日本を大事にしてくれよ。ギリシャやイタリアだったら、既に10回は財政破綻してると思うよ。