パンデミック後の新世界を作るために (foussin’s blog)

(『見捨てられた世代』からの提言)

34.価値観の一変で政党再編はどう進むか(政党の囲い込みが分断の元凶)

 新型コロナによって、世界の価値観は 180度変わってしまった。資本力に物を言わせた無制限の利潤追求にリミッタ-が掛けられた。大量生産・大量消費による効率化・合理化の時代は完全に終止符を打ったと自分は思っている。
 それは日本も同様で、日本最大政党の自民党でも、従来の既得権益を守ることはできなくなった。そして、今回の安倍首相辞任による次期総裁選の動向から、今後の自民党の生き残り戦略が見えてきたと感じた。

 従来の総裁選では、全国の自民党員による直接選挙で新総裁は決められてきた。年会費4千円?を支払うことで総裁を選ぶ権利が得られるという触れ込みで、党員確保に勤しんできたはずだったが、今回は違った。
 そこから見えてくるのは、全国党員「総入替」をも視野に入れた戦略だ。没落する業界の期待に応えるのをやめて、新たな既得権益に注目し「勝ち馬に乗り換える作戦」に出たと感じた。

 自民党が資本主義政党ならば「利己的合理性」に従うのは、むしろ自然な話。現在の「勝ち馬」は資本所得者だ。意外なところでは、アニメ関連の社会補償の充実を図っている。オタクを票田として狙っている?
 今でも「インフレ経済政策」を推進していることから、実体経済を牽引する労働所得者よりも資本所得者を優遇する方向へ自民党が梶を切っているのは明白だ。残念ながら、それは今以上に格差を拡大させる。与党の一番の懸案事項は「財政健全化」なので、仕方がない話ではあるが・・・。
 ただ、資本所得者はごく少数の成功者なので「数の論理」を旨とする資本主義政党としては選挙で不利だ。そこで、今までの「労働所得者の上位勝ち組」や、票田としての「土建組合」なども、しばらくは党員として大事に扱われるだろう。

 しかし、自分の個人的な意見を言わせてもらうなら、業界団体・宗教団体などを丸ごと囲い込んで多数派を形成するやり方は「民主的」とは言えない。これこそ、家族間や世代間を分断してきた「元凶」だと自分は思っている。言われてみれば納得するだろう?

利己的合理性に基づく囲い込みは、一方で民主的な繋がりを分断してしまうのだ。

 自分が自民党公明党を嫌っている理由は、まさにその点にある。両党共に「特殊な団体」を票田として囲い込むことで多数派を形成しているが、それが家族や友人との摩擦や分断を生み出している。が、両党はそれに対して実に鈍感なのだ。
 政治は利害であり、その本質は「縄張り争い」に過ぎない。利己的合理性を盲信し、それに乗せられてしまうと、いつの間にか紛争の先兵として組み込まれてしまう。自分自身が社会を分断する剣や盾や壁になってしまうのだ。

 徒党を組んで敵対勢力に対抗する。その姿勢が既に排他的・短絡的であり、分断が起きるのはむしろ当然の話だ。「排他性」は多様性の対義語と言える。目先の利益ばかり気にしていると、最終的な損失が自分に跳ね返ってくるのだ。
 「利己的合理性」を肯定する経済学。その経済学を盲信する資本主義。利己的合理性は排他的であり、自己中心的であり、他人の痛みに鈍感だ。結局、多様性を否定する行為ばかりしている。これらには、明らかに民主主義が欠落している。
 家族や友人は、利己的・短絡的な合理性で選別できるものではない。だからこそ思い出してほしい。今や日本は「民主主義の輸出大国」であることを。そのことを絶対に忘れないでほしい。